Harvey Sutherland - Bermuda

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  • Harvey Sutherlandは伝統を重んじる男だ。本名、Mike Katz、メルボルンのプロデューサーである彼は、2013年以降、スムーズかつ上品なハウスを控えめなファンクへと高めてきた。あたたかなローズの和音、軽く刻まれるディスコのリズム、ソウルフルなリードシンセ、そして、柔軟なベースラインなど、いづれもスタジオで演奏され生録音されているように聞こえるサウンドを聞けば、彼の作品だと分かるだろう。そしてそのサウンドは実際に演奏/生録音されている可能性が高い。Katzはセッションミュージシャンだったこともあり、彼が書く楽曲にはどれも直観的なミュージシャン性が輝いている。Danilo PlessowのレーベルMCDEに提供した彼のファーストEPに収録された"Bermuda"と"New Paradise"では、ストリングスのアレンジメントとしてTamil Rogeonの名がクレジットされている。ディテールの細かな差異が最重要視されていた時代を再現する12インチにおいて肝心な点だ。 おそらく「Bermuda」で最大のポイントは、サウンドすべてがエネルギーに満ちて生き生きとしていることだろう。しかし同時に、Sutherlandがビンテージなスタイルを生半可な形にすることなく扱っている点も注目に値する。ジャジーなディスコファンクに対して完ぺきなオマージュを捧げることに関して、彼に偽善的な態度は一切無い。そして、そのエネルギーはシルキーなグルーブそれぞれにおいて鼓動している。"Bermuda"はアップテンポなハイステッパーだ。分厚いベースシンセと激しく叩かれるクラップによって仕上げられている。一方、"New Paradise"はディープかつふつふつと湧き上がるソウルでBサイドを満たしている。どちらのトラックも70年代後半/80年代前半のT.K. Discoの抑制したサウンドを狙っている印象だが、同時に、ハーモニーと自然なパフォーマンスを織り合わせるKatzの聴覚により、単なる過去の模倣以上の成果を上げている。「Bermuda」は濃密にメロディアスで臆することなく楽しさを表現したレコードだ。フロアにいる人々にじわじわと忍び寄り彼らを熱狂へと導き、無意識のうちに踊らせることになるだろう。
  • Tracklist
      A1 Bermuda B1 New Paradise
RA