Voices From The Lake - Live At MAXXI

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  • Donato DozzyとGuiseppe Tillieci(aka Neel)はEditions Megoのライブアルバムに向けて、ローマのコンテンポラリーアートセンターの最高峰であるMAXXIで行ったVoices From The Lakeのパフォーマンスをレコーディングした。ニューヨークのThe Bunkerでのセットの一部を切り取って発表していたライブ12インチとは極めて対照的に、本作では酩酊感のあるビートは一切見当たらない。代わりにレコーディングが捉えているのは、ゆったりとしたアンビエントによるサウンドスケープだ。おそらく、空間の中で注目を集めようとするのではなく、空間と融合することを趣旨としているのだろう。無論、この柔らかくトリッピーなサウンドがMAXXIの湾曲し広々としたギャラリーにこだましている光景を想像するのは容易だ。 『Live At MAXXI』は、絶妙なサイケデリック性を持ったリズムをDozzyとTillieciによる複数のテクスチャーで覆った作品として最高峰に位置する。その最たる例は"Sonia Danza"だ。高らかに響くパーカッシブなパターンはテクノフレンドリーなリズムと思わせるが、その根幹部は極めて優美だ。希薄で繊細な外郭にも関らず、トラックには心を奪われる。"Richiami e Oscillazioni"においても、口琴がリードパートを演じる際に同様のことが起こっている。エレクトロニックノイズが攻撃的に膨張していく中、シンプルな楽器がバウンスし反響を起こしながら飲み込まれていく。こうした異質なテクスチャーが、反復する緩いドラムサウンドに効果的にミックスされている。 "Scintille"や"Dreamscape Generation"のようなトラックは、Tillieciが昨年発表した音数の少ない機械的な編成と極上のタッチによるソロアルバムを彷彿とさせる。ソロアルバムでは、絶世のクライマックスへ向かって勢いを増していたのに対し、『Live At MAXXI』では決定的な方向性に欠けている。その結果、リズム性の少ない収録トラックに悪影響が及んでいる。トラックが持つ微かなエネルギーは強度を増していくのではなく、他の要素に遮られ消滅してしまっているのだ。こうしたサウンドがギャラリーという空間で機能するのは理解できるが、それ以外の環境ではそれほど得られるものが無い。 勢いよりも『Live At MAXXI』にさらに欠けているのは深みだ。本作では、がらんとした空間によって真の美しさを持つ瞬間が遮られており、我を忘れた状態になるのが難しい。完全に没頭させられることは稀で、Voices From The Lakeのスタジオワークが持つ極上の緊張感に欠けており、それに変わるフロウもそれほど無いまま漂っている。イタリア人シンガーのPaolo Conteによる"Max"をチルアウトに仕上げたカバーでは、古参のジャズマンである彼の声がOrbitalのような響きになっている。水面から潜っていくというよりも、その場で浮かんでいる状態で安心しているような本作を締めくくる不可解なトラックだ。
  • Tracklist
      01. Intro 02. Sonia Danza 03. Dreamscape Generation 04. Richiami e Oscillazioni 05. Orange Steps 06. Scintille 07. Max