Etienne - Airmetique EP

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  • ジャズやディスコをサンプリングしていようと、古いシンセで制作していようと、もしくは、他人のレコードをプレイしていようと、ハウスとテクノは常に歴史を消費するジャンルであり続けてきた。そして、ハウスとテクノの芸当とは過去からの影響を新しく特別な何かに変化させることである。ベルリン生まれのEtienneはDJとしてこの点をしっかりと掴んでおり、過去数年のレコードコレクションをプレイすることで人々の目を振り向かせてきた。彼にまつわるハイプな状況を考えれば、初めて作品をリリースするという行為は、彼の評判をリスクにかけているとも言える。しかし、「Airmetique」はまったくもって素晴らしいデビュー作だ。 "Obsolate"はメインイベント前の糸口として扱いやすいトラックだ。暖かく、そして、気だるく、晴天のデイパーティーに合いそうなスムーズさがありながら、繰り返し聞いても飽きない精巧さがある。シルキーな傑作2ステップ"Delphus"を聞けば、何故「Airmetique」にこれだけのアツい期待が集まっていたのかが分かるはずだ。90年代のガラージのレコードが再び注目を集めている昨今、数多の軟弱なガラージチューンの新曲がかつてのトラックをマネしようとして失敗している。しかし、"Delphus"は珍しく、絶妙な回顧作として突出している。要素を削ぎ落とし考え抜かれたアレンジと、そのサウンドに対する歴史を意識しながら新しいものに向かっていく - リバイバルとはこうあってしかるべきだ。 Etienneの未発表トラック"Desert C"のリミックスでEPを締めくくるのはマンチェスターのIsherwoodだ。彼のリズムにはダスティーなぎこちなさがあり、最も変なことをやっているときのSTLを彷彿とさせる。しかし同時に、トラックを聞くとその瞬間に彼の作品だと分かるくらい特徴的だ。正しく使えば、アフターアワーズで印象的なトリップタイムの一部となるであろう見事に処理されたツールトラックだ。
  • Tracklist
      A1 Delphus B1 Obsolate B2 Desert C (Isherwood Remix)
RA