Takuya Yamashita - Iris

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  • 音楽活動自体は90年代からと非常に長いが、その活動は2012年にFunk D'voidのOutpost Recordingsからリリースした「Daybreak/Mars EP」、またそれがCadenzaへとライセンスされた事によって、ようやく国内外から視線を集める事となった。その人こそ札幌を拠点に活動するTakuya Yamashitaであり、ミニマルやデトロイト・テクノに強い影響を受けた音楽性は、正しく叙情性の強いメロディーを打ち出して情感をふんだんに詰め込んだ作風として現れている。 そんな前提を考慮すれば、テクノのエモーショナルな面に焦点を当てる事をコンセプトにしたというイタリアの新興レーベルであるSpektrum Labelの第1弾作品として、Yamashitaが迎えられた事は決して不思議ではない。タイトル曲"Iris"は元々2010年にIrdial Musicからリリースされていたものだが、エモーショナルと言う音楽性を表現するのであればこの曲がライセンスされた事は適切と言わざるを得ないだろう。幻想的に湧き上がるパッドと美しいシンセのメロディーによって静かに温度感が高まって行くようなビートレスなイントロから、太いボトムの4つ打ちが入ってくれば、宇宙の星の狭間を一気に加速し駆け抜けるようにドラマティックな展開が始まる。既に5年前の曲ではあるものの流行を意識した曲ではないのだから、全く古臭いとか時代にそぐわないという事もなく、エモーショナルなテクノとして今尚輝きを放つ。裏面には新曲が2曲収録されているが、ハードさもありつつ小刻みなメロディーとコード展開でデトロイティッシュな爽快感のある"Regulus"、そしてダークな色調とスィングする乾いたパーカッションにより機能美を活かしたミニマル性の強い"Gray Sky"と、こちらも自然と真夜中のフロアにフィットする作風だ。デトロイト・テクノに影響を受けたと公言する通り、一聴して耳に残るエモーショナルな旋律や跳ね上がるようなグルーヴを聞かせ、希望をもたらすようなポジティブな作風はYamashitaの個性なのだ。
  • Tracklist
      A1 Iris B1 Regulus B2 Gray Sky
RA