Pépé Bradock - Red Bull Studios Paris Session

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  • Pépé Bradockは自分の作品をコラージュとして組み立てる傾向がある。それは90年代のヒップホップ・プロデューサーによるカット&ペーストの伝統の中に見い出せるものだ。一見したところ、彼のトラックはハウスであることが多いが、よくよく聴いてみると、彼が普通とは違う異質な音源を細かくバラバラにして、それを再び接着している様子が分かる。そして、その接着物は何故か見事にハマるのだ。しかし、そのためには、イマジネーションと強い実現力を組み合わせることが往々にして必要となる。「Imbroglios」シリーズでは、フランス人であるBradockは、時折、狂った実験をしているように感じられることがあるが、Red Bull Srudios Parisを通じて無料ダウンロード可能な彼の最新EPでは、より確立された様式に傾倒している。 "Abbul Abas"はBradockのストレートなディープハウストラックに沿ったじっとりとしたトラックだ。ジャズ的な響きと奇妙な大袈裟さがサウナで熱されているかのように発汗している。歌には暖かみがあり、若干重苦しくありながら、同時にすがすがしくも感じられる。軋む音によるアンビエントトラック"Choses Irréparables"は、"Homo Sandwichus"の序章となっており、"Homo Sandwichus"では、Bradockは再び実験性に立ち返っている。軋むシンセが簡素に描かれ("Choses Irréparables"のサウンドとほぼ同じだ)、強引な軌道に実体の無い声と細かく波打つハイハットが乗せられている。「Red Bull Studios Paris Session」において、Bradockはプロデューサーとしての役割とマッドサイエンティストとしての役割を見事に両立している。
  • Tracklist
      01. Abul Abbas 02. Choses Irréparables 03. Homo Sandwichus
RA