Overall Severity ‎- Helene

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  • Max_Mが筆者のお気に入りテクノアーティストのひとりになってもう何年にもなる。どうやって、いつ、彼の音楽を見つけ出したのか思い出せないが、おそらく、彼が2009年に設立したレーベル、M_REC LTDを通じてだったと思う。この偉大なレーベルから発表されている人気作品の中には、Max_Mが同郷のイタリア人プロデューサーと一緒に手掛けたジョイントリリースが含まれる。そのほとんどは10インチシリーズの一部としてリリースされており、昨年リリースされた10インチシリーズの最新作では、ミランの若きプロデューサーであるWrong Assessmentとのコラボレーションがフィーチャーされていた。ふたりがOverall Severityとして一緒に制作した作品は、素材を削ぎ落としたMax_Mのソロ作品よりも音楽的であることが多かった。このコラボレーションはMax_Mがシリアスな面から離れて異なる路線を進む機会になっているような印象で、メロディアスで、そして間違いなく表現豊かなサウンドが取り扱われていた。 Overall Severityによる今回の12インチ「Helene」は、Max_Mが早過ぎる死を迎えた5月末以前にリリースされた彼の最後の作品だ。本作には、ツール的なクラブトラックが2曲と"Emotional Harm"と名付けられたドリーミーなブロークンビートがフィーチャーされている。本作を締めくくる"Emotional Harm"は、Max_Mが手掛けた中で、最もはっきりとエモーショナルな一面を打ち出したトラックかもしれない。トラックには、その時の気持ち次第で変わってしまいそうな多義性のあるムードが漂っている。1回聴くと、歪んだシンセスタブと痛々しいフィードバックサウンドはメランコリックな印象だが、数日後に再び聴くと、爽快で希望に満ちて聞こえ得るのだ。さりげなく非常にスマートなMax_Mの広範なディスコグラフィーにおいて、この点は典型的だ。 Max_Mの作品の中で最も感情を揺さぶるトラックが生前最後のEPに収録されていることは、奇妙に痛ましい。その一方で、元気になれる音楽が必要な人は、バンギンな"Vario 7288"か"Unable To Assess"に針を落とすといい。しかし、バンギンなトラックが新たに届けられるまでそれほど待つ必要は無いのではないかと思う。Max_Mはテクノ界で最もハードワーキングなレーベルオーナーのひとりで、かなり前からリリーススケジュールの予定を組んでいた。そのため、Max_Mの新作を耳にするのはこれで最後ではないという気がするのだ。
  • Tracklist
      A1 Vario 7288 B1 Unable to Assess B2 Emotional Harm