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  • Tom Russellはこの数年目覚ましい活動を見せている。MPIA3名義でハードテクノの波に乗り、Perc Traxの主要メンバーのひとりとしてレーベルの興隆を享受している他、荒唐無稽のレイブデュオBlacknecksで冗談混じりの音楽性を披露している。彼の最新作は新たにPerc Traxが始めるシリーズの第1弾にあたる。このシリーズではレーベルのアーティストたちがもっと「全体的な」視野で捉えた音楽を提示していくようだ。リミックスを付け加えるようなことはせず、アートワークはタイトルごとにデザインされる。Truss名義では2012年以来となるソロEPを発表するRussellにとって、本作の仕上がりは人以上に重要になる。インダストリアルテクノの時期は過ぎ去ってしまったのかもしれない。しかし「Kymin Lea」では引き続きRussellが好調であることが示されている。 本作でメインとなるのはタイトルトラック"Kymin Lea"だろう。90年代中期のIDMエレクトロにモダンなステロイドを詰め込んだナンバーだ。不快で甲高い音を鳴らすハイハット、ディストーションによる怒りに満ちたスネア、醜く呻きを上げるベース。トラックが進行するにつれ、全ての要素が次々と捩じられていき無数のグリッチ音で打ち抜かれていく。深く響き渡るシンセラインが入ってくる場面はさらに素晴らしい。シンプルなアイデアを鮮烈に実現した好例だ。一方、全く違う方向性で新鮮なのが"Clawdd Du"だ。このトラックに最も身近なアーティストはPowellかもしれない。荒々しい叫び声の断片、汗がほとばしるエネルギー、そして、非常にUKらしいユーモアセンスはどれもPowellのトレードマークだ(もっとも、TrussはPowellを全く知らない訳ではない)。もちろん、Powellと異なる点もあり、Trussは伝統的なテクノに深く浸かり込んでいる。その結果、直線的で機能的でありながら、めまいがするほど奇妙なトラックに仕上がった。EPを締めくくるのは、うつむきたくなるアシッドトラック"Wyefield"だが、他のトラックのような独特の勢いに欠けており、あまり印象が優れない。とは言え、3曲中2曲が素晴らしければ、ここ数年におけるTrussのベスト作品とするには十分だろう。
  • Tracklist
      A1 Kymin Lea B1 Clawdd Du B2 Wyefield