Zum Goldenen Schwarm - Aufgang

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  • 『Aufgang』はGieglingのサブレーベルForumから3枚目となるアルバムだ。同レーベルはこれまでPrince Of Denmarkの『The Body』とVrilの『Torus』をリリースしている。Zum Goldenen Schwarmにとって初となるフルレンクスアルバムはスタイル面において『The Body』に近いが、長く聴いていると本作の方がより憂いを感じる。『Aufgang』は内省的で時として不可思議な陰鬱を思わせる特定のムードを捉えており、そのムードを2枚のヴァイナルを通じてゆっくりと時間をかけて取り扱っている。 アルバムには多くのアイデアが展開されているが、どれも薄っすらとしており、どうも煮え切らない。とは言え、アルバムの骨子となるかなり強力なトラックも収録されている。ガス缶が噴射されているようなハイハットと轟くドラムサウンドが用いられた"Aufgang I"と"Aufgang II"は、適量の汚れとオイルで美しく加工したざらつきのあるダブテクノだ。ビートレストラック"Aufgang III"では遠く彼方に配置された聖歌隊の微かな声とバイオリンのループを聴くことができる。もしかすると本作で一番心地よいトラックかもしれない。 他の収録曲は個別に聴くとかなり素晴らしいのだが、ひとつの連なりとしてまとめて聴くと少し気だるさを感じる。"Weltentor"が始まってから"Ubergang"が終わるまでの約25分間、遠方から聞こえてくる残響と柔らかく膨らむアンビエントサウンドの下にキックドラムが埋もれていて眠気を誘う。本作のぼんやりとした雰囲気が典型的に表れているのが"Schwelle"だ。一筋の煙のように漂う弱々しいシンセと、ホワイトノイズに包まれたドラムサウンドが、不安感を覚えるトラックに加えられている。確かに素晴らしいのだが、そのムードはアルバムを通じて何度も繰り返し参照されており、単独で聴けば優雅であったろうサウンドデザインも魅力の多くが失われることになっている。そうすると『Aufgang』のウィークポイントは主に編集の問題ということになる。本作の収録曲からどれか5曲を選べば素晴らしいEPになっていただろう。アルバムとしての曲決めがこれほど緩慢になっているため『Aufgang』はその魅力を十分に発揮できていないようだ。
  • Tracklist
      01. Windung 02. Schwelle 03. Aufgang I 04. Wirbel 05. Aufgang II 06. Weltentor 07. Aufgang III 08. Uebergang