Kez YM - Moving Vision EP

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  • Kazuki YamaguchiことKez YMにとって、日本という地は狭すぎたのだろうか。Red Bull Music Academyの日本人生徒第1号という経歴を持ち、そして活動当初はYore Recordsの専属アーティストとして制作を行っていた彼は、2014年には新たなる活動の場を求めてベルリンへと移住した。全身を震わし肉体的なグルーヴを紡ぐDJとしてのスキルと、そして現場で養われた経験を曲に反映させたトラックメーカーとして、その才能は日本よりも寧ろ海外で評価されているように思われるからこそ、新天地を求めたのは不思議ではない。 そんなKez YMが1年半ぶりにリリースした新作は、古巣であるYore Recordsからとなった。近年はFaces RecordsやCity Fly Recordsから太いボトムと生々しい音質を打ち出したファンキーなハウスを送り出していたが、"Fixer"もその路線上にある。ホーンやエレピのサンプリングと共に気の抜けたボーカルを反復させ、手数が多く混沌を思わすパーカッションや太いベースラインを活かしたハウス・ミュージックは、今までのKez YMを踏襲する野生が息衝いている。しかし"Extended Sunset"では一転して、跳ねる質感を保ちながらも滑らかな4つ打ちを強調したリズムを披露し、優美ささえも匂わす心地良いシンセのコード展開を繰り広げ、Kez YMにしては随分と洗練されたディープ・ハウスだと驚かされる事だろう。そして強烈な印象を残す"Weekend"は、アフロなパーカッションと濛々とした黒い煙が渦巻く中に仄かに華麗さが光るエレピを交えたサイケデリックなハウスで、他の曲との対比によりその黒さがより強調されている。どれもがフロアでプレイされる事を前提した躍動感のあるグルーヴがあるのだが、しかしKez YMの曲は決して作り込まれている訳でもなく、寧ろサンプリングとループ中心の単純な構成だ。しかしそれでも体を震わし心を揺さぶる音楽となるのは、生まれながら持った天性のセンス故だろうか、心を熱くするDJプレイが楽曲制作にも見事に反映されているのだ。
  • Tracklist
      A1 Fixer A2 Extended Sunset B1 Weekend B2 Moon Night Leaves