- Thomas Melchiorのトラックが素晴らしい時は、いつも、2つの要素が含まれている。跳ねるリズムとエモーションだ。この要素が含まれる量は、トラックによってかなり違うが、スナップの効いたドラムサウンドと琴線に触れるメロディを用いている時のMelchiorが、間違いなく一番素晴らしい。どちらか1つが欠けてもダメで、先日Perlonから発表した「Meditations1-6」が正にそのケースだった。しかし「The Return Of The Cosmic Kids Vol 2」でのMelchiorはベストの状態にあるので安心して欲しい。今作の爽やかな音楽観を味わえば、彼がいかに効果的なトラックを生み出すことができるのかを再認識させられる。
「The Return Of The Cosmic Kids Vol 2」は、昨年Aspect Musicから出た同名の2曲入りEPの続編だ。前作と同様、今回も浮遊感のあるトラックと、アップビートなトラックによる対照的な収録曲になっている。個人的には、本作のキモはBサイドの"Liquid Moves"だ。パンチの効いた低域、移ろうハイハット、キーボードによる短いショートリフが、10分間に渡って、互いの間を跳ねまわり、気持ちいいダンストラックへと結実している。フロアで聴くと確実に笑顔になってしまうトラックだ。浮遊感のある"Sometimes"は、ゆっくりとテンションを温めている。Bサイドよりもダークで即効性は無いが、恍惚と不安の中間に浮かんでいるようなもやもやとしたムードを纏っており、上手く使えば、フロアに新鮮な空気をもたらすだろう。
TracklistA1 Sometimes
B1 Liquid Moves
B2 Liquid Moves (Mjm Accapella)