Lotic - Heterocetera

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  • J'Kerian Morganの音楽に含まれているアイデアは、決して目新しいものではないが、そのアイデアが無傷の状態であることはほとんどない。Morganは、既存のジャンルの中で楽曲制作するのではなく、既存の枠組みを用いながら、それを粉々に破壊して、その結果からロールシャッハテストで用いられる模様のような音楽を形成している。「奇怪であること」と「他とは違うこと」に重点を置いてベルリンで開催されている流浪のパーティーJanusでは、レジデント仲間と共に、MorganはLotic名義を使って、破壊行為に対する偏愛ぶりを分かち合っている。元々、R&Bやポップス志向として知られていたLoticの音楽は、Janusがマンスリーのペースで開催されなくなった頃から、ダークな方向に進み始めた。そして生まれたのが、27分に及ぶ拷問コラージュミックス『Damsel In Distress』だ。Morgan曰く、無料で公開されたミックスは「助けを求めて泣き叫んでいる」「これで終わりにしようと思って作った」ものである。このミックスに続きリリースされるTri Angleからのデビュー作「Heterocetera」も、同じ音楽性を歩んでいる。 「Heterocetera」は、対立的なEPだ。1曲目の"Suspension"には、敵対心が漂い、まるで、不法侵入して警報装置を作動させてしまったかのような印象だ。タイトルトラック"Hererocetera"は、ボールルームの定番トラックとしてあまりにも有名なMasters At Workの"ha!"を使って、ガスケットの隙間から噴き出すヒスノイズや、ギアが噛み合うサウンドを頭上に浮かぶ雲のような雰囲気を生み出している。激しく攻撃的な"Phlegm"も、同様に常軌を逸したトラックだ。"Slay"と"Underneath"を聴いていると、無空間とリバーブの使い方が、Tri Angleの新人アーティストRabitを彷彿とさせる。どちらのトラックでも、歯切れのいいサウンドが使われ、同じく不穏な空気が漂っているにも関わらず、そこには無重力空間が広がっており、休息の一時を提供している。 先日公開されたRAの特集記事で、Morganは「DJとして、僕はみんなを踊らせたいけど、何が起こっているのかよく分からない状態にもなってもらいたい」と語っている。「Heretocetera」から判断するに、彼のこの意識は制作面にも当てはまるようだ。本作では全20分間に渡って、驚きで訳が分からなくなるまで暴力的な展開を見せるダンスミュージックを聴くことができる。
  • Tracklist
      01 Suspension 02. Heterocetera 03. Slay 04. Phlegm 05. Underneath