DJ Sprinkles and Mark Fell - Fresh Insights EP 2

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  • DJ SprinklesとMark Fellが今回で3回目のコラボレーションとなる新作EPを発表した。Fresh Insights(新鮮な洞察力。の意)というタイトルは、トラックの内容をしっかりと汲んでいるように思う。今は亡きTony Benn(労働党の政治家)による長いスピーチが"Fresh (Sprinkles Alt. Mix)"で用いられているのだが、EPのタイトルはこのスピーチのことを指しているのかもしれない。というのも、スピーチが使われていることによって、これまでに無く鋭く無骨な表現性を持ったディープハウスが生まれているからだ。2人にとって初めてのコラボレーション作となった「Complete Spiral」でも、労働組合のリーダーArthur Scargillによる講演時の声がフィーチャーされている。「Fresh Insights EP 1」に収録されたトラックをDJ Sprinklesがリミックスした今回の「EP 2」では、こうした表現性に加え、Terre Thaemlitz(DJ Sprinkles)とMark Fellによるコラボレーションが最好調の状態にあることがうかがえる。 グリッチミニマル・ユニットSNDの元メンバーであるFellだが、「Fresh Insights EP 2」には、普段の実験的側面を持ち込んではいない。しかし、本作におけるクリーンな質感に、彼らしさが表れていると言える。さらに本作は、2人の卓越ぶりに寄せられる評価をより確かなものにしている。"Fresh (Sprinkles Ait. Mix)では、前述のスピーチで何かしら重要なことが語られると、旋回するような木琴のメロディと、落ち着きなく震える人工的なホーンサウンドが音を立てるのだが、まるで教科書の大事な部分に赤いペンで丸を付けているかのようだ。 ハウスミュージックで限界まで気楽さを表現するとしたら、"Insights (Sprinkles Alt. Mix)"のようなトラックになるだろう。しなやかで若干捻じれた女性ボーカルが用いられ、日差しが差し込む瞬間に合わせて、ふわりと出入りする。ボンゴ、ハンドクラップ、ブロック・パーカッション、打楽器、練り込まれた和音、チャイムのようなメロディなど、作り込まれたサウンドが多く用いられているが、トラックには広々とした感覚と軽快さが引き続き保たれている。両トラック共に完成度が高く、欠点を見つけるのが難しい。
  • Tracklist
      A1 Insights (Sprinkles Alt. Mix) B1 Fresh (Sprinkles Alt. Mix)