Zenker Brothers - Immersion

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  • Immersion(没頭)というタイトルはDario ZenkerとMarzo Zenkerのデビューアルバムにとって完璧かもしれない。ミュンヘン在住のZenker兄弟の音楽は没頭以外の何物でもない。重厚な空間、シンセのレイヤー、そして、ざらついたドラムサウンドは、彼らの作品ほぼ全てに共通する特徴であり、濃密で魅力的なトラックを多数生み出すことに繋がっている。アルバムのタイトルは彼ら自身を投影しているのだと、数ヶ月前、2人は語っていた。それはつまり、「まだ知らないテリトリーに進むというか。僕たちのサウンドに飛び込んで、全てを解き放つ為」の欲求だ。この言葉は、彼らが昨年1年を費やして生み出してきた音響体験を言い表すためにも使える表現だ。 DarioとMarcoは別々に音楽をリリースことの方が圧倒的に多い。彼らはペアを組んだ方が良い仕事をする、とはハッキリと言えないかもしれないが、一緒に制作した方が、当たり曲が出る確率が確実に高くなる。初めて2人が公式にZenker Brothersとしてリリースしたのは、2011年に発表されたEP「Berg 10」だった。このEPは今でも彼らのベスト作品の1つだ。この作品でフィーチャーされ特徴的だったのが、ブロークンビーツだ。今でも2人はブロークンビーツを定期的に取り入れて制作を行っているが、「Berg」はその初めての試みになった1枚でもある。その4年後に発表された今回の『Immersion』で重要な位置を占めているのが、シャッフル/スイング感のあるドラムだ。 『Immersion』では、方向感覚を失いそうな空間の中、ビートがずぶ濡れになっている。しかしながら、(アンビエントトラックは除いての話だが)アルバム全体を通じて躍動感がある。例えば、"Innef Runs"や"TSV WB"は共に、分かりやすいフックを用いない濃密でディープなトラックだ。しかし、そこへ兄弟の巧みな(そして、どこかドイツ的に聞こえる)シーケンスを組み合わせることで、キラートラックへと仕上がっている。Zenker Brothersがやっている音楽が素晴らしい理由の一部は、この適確なトラックのスピード感にある。 彼らがレーベルを通じてリリースしてきた音楽の成果としては、『Immersion』にはそれほど変化は見られない。Ilian Tapeは、この8年間、ハウスとテクノを広大な範囲で横断してきたが、今作で具現化された陽炎のように揺らめくサウンドとリズムによって、その音楽観はこれまでの作品と繋がり合っているからだ。スタイルという面では、本作はJichael Macksonの2010年作「Plex EP」(英語サイト)を彷彿とさせる。奇しくも「Plex EP」はIlian Tapeにとって最も重要な12インチの1つだ。レーベルが金銭的な問題で3年間デジタルリリースのみをすることになった時期を経て、再びヴァイナルでリリースされることになったのがこのEPだった。DarioとMarcoは昨年、Jichael Macksonのレコードのサウンドは「完全にミュンヘンだ」と言っている。このEPから5年が経った今もミュンヘンサウンドが存在するとするなら、それは『Immersion』なのだろう。
  • Tracklist
      01. Mintro 02. Aisel 03. Phing 04. Innef Runs 05. TSV WB 06. Erbquake 07. High Club 08. Ebbman 09. Cornel 21 10. Outark
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