Gonno - Muddler EP

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  • 2011年にInternational Feelよりリリースした"ACDise #2"がクラブ・アンセムとなり、それを契機に日本のみならず海外からも高い評価を得る事に成功したGonno。その成果はアイドルユニットやロックバンドからもリミックスも依頼されるなど結果として現れ、DJとしてだけでなくトラックメーカーとしての才能も高めている。勿論それ以前の活動も長く2005年にはW.C. Recordingsから初のアルバムをリリースしていたが、それから10年を経て遂にMule Musiqから待望のニューアルバムのリリースがアナウンスされており、本作はそれに先駆ける事になる新作EPだ。 Gonnoの音楽性はどれか特定の枠に当てはまる事なく、それが素晴らしいものであればどんな音楽性であろうと取り入れるオープンマインドな姿勢があるのは周知の事実だろう。例えば"ACDise #2"ではアシッドのベースラインが入りながらも、バレアリックな幸福感を誘う曲でもあった。本作に収録された"Stop"も同様に震撼するアシッドサウンドが特徴だが、それはシカゴ発祥の狂気に満ちたアシッド・ハウスやドイツの俗世的なアシッド・トランスとも異なり、じわりと牙を剥くようなアシッドサウンドながらもどこか笑みが浮かぶようなポジティブな空気が満ちている。硬質でざらついたパーカッションが無機的に刻まれる中からぶんぶんと唸るベースが浮かび上がり、そして入ってくる刳るようなアシッド・ベースにより刺激される展開だが、辛抱強くじわりとした流れによって中毒性を高める事に成功している。そして瞑想へと誘う宗教的なシンセのコード展開も加わり、スローなBPMながらも極めてスケール感の大きい多幸感を生み出すのだ。一方"Across The Sadness"もGonnoらしくシューゲイザーの要素をダンス・ミュージックに持ち込んでおり、淡くもノイジーなシンセがサイケデリックな響きを発しながら、天上への螺旋階段を上り詰めていくようなバレアリックな至福感に包まれる。ジャンルへの帰属意識の薄さ故か一見異なるアーティストが制作したようにも錯覚する作風だが、しかしどちらにも共通するのはその一点の曇りさえもない多幸感であり、それはGonnoがダンスフロアへと求めている物にも思われるのだ。
  • Tracklist
      A Stop B Across The Sadness