Aphex Twin - Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP

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  • Richard D. JamesがAphex Twin名義で昨年リリースした精神融解必至の傑作『Syro』のアルバム名が『Syro』ではなく、『It Can Be Done But Only I Can Do It』だったなら、なかなか的を得たネーミングになっていただろう(『It Can Be Done But Only I Can Do It』はOmar-Sのアルバムで、「やることは可能だけど、できるのは俺だけだ」という意味)。『Thank You For Lettng Me Be Myself(俺らしくいさせてくれて、ありがとう)』というOmar-Sの別のアルバム名は、Jamesの最新作「Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP」の代替案にしてもいいだろう。Jamesと同等のレベルのクリエイティビティを自由に発揮できるアーティストはそうそういない。かつて、クラシックとなる作品を数々生み出した男が、長い年月を経ても、いまだに絶好調であることを、先のアルバムが証明したからこそ、特にそう感じる。そして、今回の彼も絶好調だ。Tom Waitsの演奏、ガムランのアンサンブルで構築したポップス、オリジナル・スピードで再生したような『Syto』の断片、などなど、様々な表情を見せている。 『Syro』では、アレンジャー、コンポーザー、そして、プログラマーとしてのJamesの技巧性に重点が置かれていたのに対し、「Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP」で重要視されているのは、雰囲気だ。それは、『Selected Ambient Works 85-92』で大事な役割を担っていた構成要素でもある。特に興味深いのは、アコースティック楽器が演奏された時に発生する漂う残響や奇妙な反響、そして、そうした音を捕まえようと効果的に鳴らされるマシンのヒスノイズだ。テクスチャーは豊かで、時折、作品にユニークな性質を与えており、特に"diskhat ALL prepared1mixed 13"では、『Syro』スタイルの狂ったアレンジメントを強烈なシャッフルに据えている。Jamesがどれだけ多くのピアノやドラムの音を用いようと、楽器音の動き1つ1つがつぶさに聞こえてくるし、トラックのグルーヴが損なわれることはない。 それと全く異なる方向性にあるのが、"disk prep calrec2 barn dance [slo]"だ。標準的な素材を可能な限り多く使って、可能な限り多くの多くの音色を捩じり出すことに焦点を当てたトラックだが、今回のEPは、こうした実験的なモードにあることが多い。アーティストが創意工夫をしているの聴くのは確かに楽しいのだが、全28分間を通して聴くと、少しやり過ぎている印象を受ける。とは言え、Jamesが同じことを繰り返していないことが分かり、嬉しくもあるのだが。
  • Tracklist
      A1 diskhat ALL prepared1mixed 13 A2 snar2 A3 diskhat1 A4 piano un1 arpej A5 DISKPREPT4 A6 hat 2b 2012b A7 disk aud1_12 A8 0035 1-Audio B1 disk prep calrec2 barn dance [slo] B2 DISKPREPT1 B3 diskhat2 B4 piano un10 it happened B5 hat5c 0001 rec-4