Loefah - Midnight / Woman

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  • ダブステップの専門家ではなくても、ヴァイナルとしてリリースされるまでに何年も時間がかかったり、もしくは一切リリースされることのないダブプレート作品が最も素晴らしい内容だったことがあるのはご存じだろう。今回のLoefahのチューンは伝説と化していたトラック2曲で元々は2004年に制作され、これまで正式にリリースされることから逃れてきたものだ。ロンドンのレーベルBerceuse Heroiqueからお目見えとなる"Midnight"と"Woman"は、Swamp 81のボスである彼がダブステップの発展において中心的役割を担っていたことを思い出させてくれる。そしてこのオリジナル・クラシックが何とも普遍的であることを証明している。 "Woman"はLoefahのトラックの中で最も脳にクるトラックの1つだ。そのアレンジメントはもはや禅のようですらある。奥深く鳴り響くキック・ドラム、繰り返されるボーカル、そしてリワインドの騒がしいサウンド、全ての要素が巨大な空洞の中でこだましている。スローモーションの迫撃砲のようなLFOのかかったベースライン以外には、トラックにそれほど展開は起こらない。むしろ、何か展開を付ける必要が無いのだ。逆サイドの"Midnight"は"Mud VIP"や"Root"といった従来のLoefahのトラックと同系列にあるが、荒々しいウォブル・ベースと噛みつくようなラガ・ボーカルは厳格に節度を保ちながら展開している。 本作は、今この2曲を手にするというノベルティ的な魅力で語られるかもしれないし、単にダブステップの輝かしい時代に対するノスタルジアとして見られるかもしれない。しかし、両トラックはどこか記念碑的に感じられるのだ。何故、本作はこれほどまでに驚愕的なのだろうか。その理由が何であれ、10年という月日が過ぎた今、こうしてかつてのトラックが入手出来るようになったのは確実に喜ばしいことだ。
  • Tracklist
      A1 Woman B1 Midnight
RA