Kowton - Whities002

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  • Young Turksの派生レーベルWhitiesは約1年ほど前にスタートし、Terronによる重心の低いハウスを収めたEP「Whities 001」を発表している。同レーベルの2枚目がもっと聞き馴染みのあるアーティストから届けられた。Joe Cowton(Kowton)だ。Kowtonが過去数年間に披露してきた音楽、概してそのクオリティが高いことはみんなが認めるところだろう。しかしながら、彼がリリースしてきた原始的で音数を絞ったリズムトラックは逆に彼を難しい状況に追いやるようになってきたのかもしれない。「Whities 002」は、そんな彼の状況を打破するサウンドだ。そして、彼の名前を最初に広めたあの強力な低音と噛み応えのあるメロディは引き続き保たれている。 3つのトラック全てが素晴らしい。各トラックはそれぞれかなり異っているのは言うまでもないが、最も目に付くトラックと言えば1曲目の"Glock & Roll"だろう。柔らかなメロディとパーカッション風の楽器がトラックの前面にキラキラとした景色を生み出し、そこへループするボーカルとSkamのような瑞々しいIDMパッドをブレンドしている。本作で最も鮮烈なテクスチャーを持つトラックだ。"Bits & Pieces"は、狂ったようなハット、ダビーな低域の躍動、軽めのリズム、そして爽やかなメロディによって、水のようなテクノと格式高いハウスの中間を歩んでいる。"Doing Nothing"も複数の要素を同化させた成功例の1つだ。3つの音程から成るブリーピーなループと巧みに刻まれる素早いハットはピュアなデトロイト・テクノだが、轟く重低音と抽象的にしたボーカルの断片には大西洋を越えたイギリスのベース・ミュージックにルーツを持つKowtonの姿が表れている。「Whities 002」に収められたトラックはそれぞれ新たな局面に望んでいる。同系統のサウンドを生み出すアーティストとレーベルにとって本作は今後の方向性を決定づけるエキサイティングな1枚となるだろう。
  • Tracklist
      A1 Glock & Roll B1 Bits & Pieces B2 Doing Nothing
RA