Mr. G - Personal Momentz

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  • Mr. Gと近しい関係にある人が亡くなったということを知らなかったとしても『Personal Momentz』がそうした状況下で作られたことはハッキリと分かる。騒がしく活気があるという意味で、オープニング・トラック"Faith"は、歯切れのいいハイハット、乾いたスネア、うねるベース、と多くのエネルギーに満ちており、従来のMr. Gらしいサウンドに聞こえるかもしれないが、中心部にあるモチーフ、つまり、微かにジャジーなタッチのピアノはこれ以上無いほど悲哀に溢れている。このトラックでは間もなくして、ゴスペル・シンガーが自分の信念を軽薄に吐露し始めると、昔のソウルやスポークン・ワードのサンプルが数多く用いられ、死について思いを馳せていく。そう、今回の収録曲はMr. Gが父親を失った後に制作されたものなのだ。 時折、『Personal Momentz』は失望の闇となる。"Dark Heartz"は「especially... when you are... alone / 特にお前が独りきりの時には」と悪魔のような声が繰り返される中、低域による深い霧の中を跳ねるドラムが用いられており、Levon Vincentをもっとアクティブにしたようなサウンドになっている。しかし、このトラックはアルバムの1つの側面でしかない。本作のエモーショナルな音色は多様性に富み、そこにはMr. Gの想いが込められており、決して殺伐とした印象を与えることはない。 "DAD"ではドスンと刻まれるキックの向こう側で木琴とリバーブに浸したキーボードが鳴らされている。このトラックは愛に満ちた静かな美しさを内包したトリビュートだ。葬式の代金について何度も話をするコメディアンが登場するなど、ブラック・ユーモアを含んだ場面もあったり、疲弊して全てを諦めたかと思えば、水中深くのハウス・トラック"Angels (Ascending)"のように精神を救済する場面もある。グルーヴィーに忍び寄る"Thingz And Stuff"ではトラックを通じて「It's just one of those things / よくあることさ」とサンプリングの声が繰り返される。ビート、弾力性のあるローエンド、レイビーな短音、そしてけたたましいストリングスのサンプルから無駄なく構築されたこのトラックは、正確に要素を削ぎ落としていく典型とも言える素晴らしさがある。 『Personal Momentz』は10日間で制作されたと言うが、もしかするとこれまでのMr. G作品の中で最も卓越したアルバムかもしれない。最も疾走感のある場面ですら、Colin McBean(Mr. G)の音楽は常に温かみと人間味を感じさせるし、彼が使う古いアナログ機材とベースから紡ぎだされる魔法は、有機的な魂をトラックに与える。しかし今回、彼はテンポを少し遅くし音楽的にもメロディ的にも自身を緩やかに表現している。ボーカル・サンプルの使い方は特にそうだろう。そしてその効果は力強い。チルアウトして熟慮されたFloorplanを想像してみてほしい。もしエレクトロニック・ミュージックには人間の感情を全て送り届けることは出来ないと言っている人がいるなら、『Personal Momentz』を聞かせてみてほしい。
  • Tracklist
      01. Faith 02. Hip Flexer 03. Interlude 2 04. DAD 05. Haze 06. G Beats Pt. 25 07. Things And Stuff (Mango Boy Red Eye Mix) 08. Lifes Riddimz (The Conversation) 09. Lot To Say 10. Angels (Ascending) 11. S O T Uz 12. Dark Heartz
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