Floating Points - Nuits Sonores

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  • ロンドンのプロデューサーSam Shepherd(Floating Points)が長尺で這うようなグルーヴのマスターであることは周知の事実だが、それがいとも簡単に作られていたことはご存じだろうか?彼の友人であるFour Tet(英語サイト)によると、彼のトラック"Nuits Sonores"は、リヨンで開かれた同名のフェスティバルに移動する飛行機の中で作られたそうだ。そしてDJブースに立った彼はそのトラックをミックスし、オープンな姿勢のオーディエンスに対してプレイしたのだった。いつものFloating Pointsのトラックと同様にスムーズで入念な印象を与える"Nuits Sonores"がこのような即席のやり方で生まれたとは誰も思いもしないだろう。 Floating Pointsがこれまでに発表してきた楽曲は既に驚異的だが、その中でも"Nuits Sonores"は印象に残るトラックだ。エネルギーに満ちた"Vacuum Boogie"のように、"Nuits Sonores"もグシャグシャになったアシッドなリード・パートが定期的に爆発し、やがて静かな展開に落ち着いていく。ハイ・スピードでぐねぐねと曲がっていく様は、ウォータースライドに放り込まれたかのようだ。しかし、そのサウンドはスリリングであるにも関わらず、全てShepherdの小粋に抑制の効いたスタイルで仕上げられている。さらに分かりやすくまとまった6分間のトラック"Nectarines"も同様の方向性から生まれたトラックだ。リバーブ、脈打つベースライン、ボーカルやホーンの断片を自由に用いるなど、比較的大バコの要素を取り入れており、無理やり音をうるさく鳴らすというよりも、素材同士が混じり合うようになっている。Floating Pointsのベスト・トラックの特徴は、彼のアレンジに対するこだわりの無さにあると言える。そのためShpherdが"Nuits Sonores"のような傑作トラックを素早く仕上げたのは当然なのかもしれない。
  • Tracklist
      A1 Nuits Sonores B1 Nectarines
RA