Ben Frost - V A R I A N T

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  • リミックスEPの良し悪しは結局リミキサーで決まるとするならば、Ben Frostの「V A R I A N T」は凄まじいことになる。レイキャビクを拠点とする実験音楽家Ben Frostによる傑作LP『A U R O R A』の楽曲をKangding Ray、HTRK、Regis、Evian Christ、そしてDutch E Germが、あの轟くパーカッションと凍てつくテクスチャーを用いて5つの突出した手法で変容させているのだ。唯一オリジナル要素だと分からなくなるまで歪めているのはHTRKのダビーかつドラッギーなリミックス"Venter"だが、Frostのサウンド処理方法は非常に鋭く勢いがあるため、「V A R I A N T」はリミックスEPというよりもアーティストとのコラボレーションをまとめた作品のようにさえ聞こえる。 Kangding RayとRegisはそれぞれ"No Sorrowing"と"Nolan"における灼け付くような霞んだソウルを嵐のようなテクノ構造の中へと取り込んでいる。前者は転がるタムとホワイト・ノイズの突風を厳格な4つ打ちのリズムにしっかりと打ち付け、後者は勇敢にもグシャグシャになった周波数が渦巻く中へと激しく揺れ動くリズム要素をフェード・インさせており、ダンス・フロアにおけるサウンド・デザインとムードにスキルを集中させているFrostに対して、両者共に強力なリミックスを提供している。 "Venter"をほぼビートレスなリミックスに仕上げたDutch E Germは形無くふわふわと浮かんでいるだけではない。瞬時の転換、静寂、突然の爆発、そしてカタカタと鳴る不気味な音を使ったこのトラックはまるでスラッシャー映画のようだ。Evian Christのバージョンも同じく気味が悪いが、オリジナル・バージョンからシンセ・パターンを浮き上がらせ、奇妙な美しさを携えた輝きを与えている。Ben Frostがやりそうなサウンドではないものの、そのヘビーで漆黒なヒップホップは、Frostの形を持たない暴力性と見事な対を成している。
  • Tracklist
      A1 Venter (Evian Christ TF 12" Mix) A2 Venter (Dutch E Germ Remix) A3 Venter (HTRK Remix) B1 No Sorrowing (Kangding Ray Remix) B2 Nolan (Regis Self Medicating Edit)