Ten Walls - Requiem

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  • 謎に包まれたプロジェクトTen Wallsが1枚目のEP「Gotham」をInnervisionsから5月にリリースした時、ホーン・セクションが輝かしく先導するディープ・ハウス・トラック"Gotham"が今年のイビザで大ヒットとなるだろうと即座に感じた。2013年の夏、様々な憶測が飛び交ったが、Ten Wallsの正体が誰なのかという問いにはいまだにハッキリとした答えは出ていない。しかし、もっとも頻繁に耳にしたのは彼はリトアニアのとあるハウス信仰者である、ということだが、威風堂々としたこの音楽の背後にいるのが例え誰であったとしても、今回イタリアのレーベルLife And Deathに提供された「Requiem」は「Gotham」に続く作品として申し分無く仕上がっているのは間違いない事実だ。"Requiem"で中心となっているのは大きくゆっくりとしたベース・パターンで、パッド・シンセで満たされた輝くプールの中を浮き沈みしている。同様のトリックは"Gotham"でも仕組まれていたが、この豊満なディープ・ハウスにはその新鮮な感覚に驚かされつつも瞬時に親しみが沸く。 「Gotham」はタイトル・トラックの"Gotham"が全て、という印象だったが、「Requiem」の場合、2曲目のトラックも全く遜色無く強力だ。ディープでコズミックなトラックとして息吹を吹き込まれる"Mongol"。このトラックに広がる絶景には、しばらくすると吸い込まれそうな魅力を持つ中近東スタイルのホーン・リフが繰り返し挿入される。50回聞いてもこのリフにはうなじの毛が逆立ちそうだ。そして弾力のあるリズムとスペクトラル状のハーモニーによってトラックは中毒的かつフロア向けに仕上げられている。最後に収められた"Ankaris"は低い音程のパッドと大きく飛び回るシンセによる颯爽としたナイト・ドライブだ。最初の2曲に比べるとそれほどインパクトは無いが、それはこの1年でリリースされたほぼ全てのトラックにも当てはまるだろう。
  • Tracklist
      A Requiem B1 Mongol B2 Ankaris
RA