Samrai & Ruf Dug - Meet At The Dane Bank Observatory

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  • SamraiとRuf Dugが一緒に制作をしているのを目にして驚く人もいるかもしれない。両者ともマンチェスターのシーンで知られた名前ではあるが、互いにかなり異なる領域から音楽を発表しているように見える。ソロとして、そして制作/プロモーター・ユニットSwing Tingの1/2として、Samraiはダブステップ、ガラージ、UKファンキー、そしてグライムといった音楽に触れながら少量ながらも魅力的で騒がしいイギリス産の異種勾配ミュージックにその身を捧げている。一方でRuf Dugはクラシックなディスコやシカゴ・ハウスからTheo Parrishや00年代に流行ったエディットもののような異端的サウンドを通じた他とは違う伝統に触れてきた。Unknown To The Unknownから発表される今回のEPは、そうした音楽性の中間で2人は出会った、と言うとあまりにも容易過ぎる。タイトルのDane Bank Observatoryは詰まるところ郊外にあるDugのスタジオの名前だが、2人が着地した共通の領域はそんなシンプルなタイトルにも関わらず強い魅力を放っている。 "1st Observation"は互いのアーティスト性のどちらにも機敏にアクセス出来る場所にいる。鈍い音をしたクラップやぬるぬるしたコードによる気だるいディープ・ハウスかと思いきや、落ち着きの無いキックとぶつ切りにされたアーメン・ブレイクが素敵にトラックを荒らしていく。トラックをまとめ上げる初期シカゴ・ハウスのディーバのような声が、バスルームの響きとシンセ・ストリングスが作る藪の中で歌い上げられている。その結果、きらびやかだがキズモノのようであり、軽快だがイラつくほどノロい。言い換えるなら、考え得る限り最高に判別不可能なトラックだ。比べて"2nd Observation"はそれほど流動的ではなく、形式的なハーフステップのビートとマイナー・キーのベースラインがイギリスらしさのある鈍いグルーヴを示唆している。そしてここでも再びシンセのアレンジが展開しているが、この音は忘れ去られたブーギーの名曲からサンプリングしたのかもしれない。Mood HutのHashman Deejayとメルボルンの2人組みZanzibar Chanelによるリミックス2曲は所謂ハウス・ミュージックのどっしりとした領域を探求している。どうしようもなく心地いいの9分強のリミックスを仕上げたHashman Deejayには賞を捧げたい。
  • Tracklist
      A1 1st Observation A2 1st Observation (Hashman Deejay Remix) B3 2nd Observation B4 2nd Observation (Zanzibar Chanel Remix)
RA