Leif - Nour And Light EP

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  • 結局のところ、Leif Knowlesの音楽とは精練、その一言に尽きる。彼の領域、すなわち、ディープ・ハウスはおそらく多くの人の間にしっかりと知れ渡っているが、ディープ・ハウスの既成概念を深く掘り下げていき異なる価値観を持つものを発掘する点にKnowlesの才能はある。少なくとも「Nour And Light」から判断する限り、この意味において彼は成長を遂げているようにしか見えない。このEPの最後まで、しっかりとしたハウスの領域が広がっており、べっとりとしたシンセ・サウンドがあれば、口の中でとろけるようなコードもある。同じことを他のプロデューサーがやっていれば、こうしたサウンドの展開における知的な側面が最も重要視されるだろうが、今回のKnowlesは呼吸をするかのごとくシンプルで自然な印象に仕上げている。 どのトラックにも微細ながら効果的な独自のドラマ性がある。"With Your Sincere Heart"というタイトルは、ストリートの喧騒の中、自分の声を聞いてもらおうと一生懸命になっているキリスト教伝道者をフィーチャーしたフィールド・レコーディングから取られている。Knowlesは自分のデビューLPを地元ウェールズの田舎にある丘の名前にしたことがあるが、常に都会的な雰囲気も保ち続けている。今回の場合であれば、焼け付く様なハイハットと颯爽と吹き抜ける豊かなコードの下深くにトラックが横たわっている。一方"Once There Was Nothing"はきらきらと輝く2つのピアノ・コードのループのようなサウンドがほんの少ししか主張していないのが心地いい。温かなフライパンの上を優雅に滑るバターのようなパッド、膨大で縮緬のように柔らかなベースライン、そしてキックとハイハットが驚くほどタイトにつながっているなど、こうした枠組みの中にトラックは全て収まっている。うねるスティールパンのベースラインを伴った唯一ダークなトラック"Sintra"は、直撃というほどではない。
  • Tracklist
      A1 Solstice A2 With Your Sincere Heart B1 Once There Was Nothing B2 Sintra
RA