Actress - Xoul

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  • 今年の『Ghettoville』でActressが少し鈍ったと感じた人がいることだろう。『Ghettoville』は、無慈悲なまでに殺伐としたアルバムで、心を鷲掴みにされた人もいれば、疎外された人もいた。ActressことDarren Cunninghamの最近の方向性についてのイメージは「Xoul」でも変わりそうにない。しかし、柔らかなメロディを中心に据えたタイトル・トラック3曲は幾分、接しやすい内容になっている。 3つの異なる"Xoul"では、無骨な要素から濃密な忘我の音世界を構築するCunninghamの唯一無二の才能を誇示しながら、同じメロディ要素に焦点をあてている。気味の悪いオルゴールのサウンドだ。A1のトラックでは、執拗な電子ハムノイズによって細かな模様が描かれ、ぐらぐらと躓きながら進んでいく。まるで、自身のビートをクオンタイズすることを面倒がったかのようだ。言い換えれば、『Ghettoville』に収録されていたなら、完璧に和むトラックということだ。よりエネルギーに満ちた"Xoul Dark Chamber"では、前述のサウンドが、渦の中へと吸い込まれる中、逆回転のハイハットによるサウンドと旋風が、おかしくなりそうなほどの不安感へと変わっていく。"Xoul Particles"は3曲の内、最も繊細にして最高だ。Actressによる見事なララバイの1つとなるこのトラック。そこでは、静寂が心地いいのか脅威なのかを決めることが難しくなる。 本作で異質なのが、ノイジーな"Pharoah Moon Rising"だ。うなりを挙げる歪んだローエンドによる基礎部分は、残りの部分をどうするか分からないまま築かれたかのようだ。エネルギッシュなコードと悲哀に満ちたホーン・サウンドが、重なり合い、互いを相殺しているが、そこでは不安感を与える不明瞭な何かを感じさせながら本作の幕を閉じている。2014年のActressをさらに謎めかせるEPだ。
  • Tracklist
      A1 Xoul A2 Xoul Dark Chamber B1 Xoul Particles B2 Pharoah Moon Rising
RA