Aria Rostami - Czarat EP

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  • 高尚な考えというものはダンス・フロアで常に機能するわけではない。Aria RostamiがCrash SymblosやAudiobulbのサブレーベルAudiomoveからリリースした以前の作品では、パキッとした質感と文学や映像から影響を受けた物語性を模索している。2012年の『Decades Peter』では、Rostami自身と共同制作者、両者のアイデンティティを摸索し、2011年の『Form』では、クリアなサウンドから始まるものの、アルバムが進行するに従って解体していきながら、終わりへと向かうものを何度も繰り返し試みていた。 "Czarat"は若干ながら従来のダンス・ミュージックに近づいている。世界中から集められた各地特有の音楽を混ぜ合わせたものであり、EPのタイトルはロシア語の"czar"とペルシャ語の"Zarathustra"を組み合わせたものである。イランの弦楽器であるタールによって奏でられる複雑な旋律をメインに、立ち上がってくるシンセのアルペジオと、スタッカートで爪弾かれるサウンド、そして気ままなオルガン・ソロがトラックを支えている。跳ね回るキックとハットのコンビネーションはトラックの下地という点での役目はほどんどなく、宇宙空間での時間の流れの中で永遠に漂うかのように、トラックからは構築と解体といった変化は感じられない。 Secret Circuitによる"Acid Dub"では、気だるい魅力を放つスパゲッティ・ウェスタンのギター・サウンドとコードが生み出す霧の中へと、前述のタールを洗い流し、オリジナル・バージョンよりも柔らかく情感に溢れている。"Vietnamoses"の序盤は、加工した楽器音が空間を掻き乱し唸りをあげながらノイズ風景を描いているが、その唸りが落ち着いていく手前で、まばらなリズムが挿入され、BPM140のモノトーンなリズム・トラックへと展開していく。パーティーの場面では、今回のトラックが異次元の衝撃をもたらすのか、もしくは、単なる混乱を招くだけなのか、それは完全にセッティングと観客の意識がオープンかどうか次第だ。このような音楽がもっと存在してくれることを願う。
  • Tracklist
      01. Czarat 02. Czarat (Secret Circuit Acid Dub Remix) 03. Vietnamoses