Odd Numbers - Break Even

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  • レーベルではないふりしているレーベルと言えば、No 'Label'がかなり強力だ。このレーベルは2011年に発足してはいるが、実質、起動し始めたのは2012年の広範になってからだ。親レーベルにあたるRush Hourにとっては変態度が少し過ぎるところがある音楽に焦点をあてている。時にはダンス・トラックのEPを発表しそうにない連中による作品が発表されることもあり、例えば、レーベル内でこれまでで最大ヒットとなった傑作「Jungle Dancing / Wave Riding」のLeisure Connectionは、アメリカのローファイ・シーンにつながりを持つアーティストだ。しかし、レーベルの最新アーティストの1組であるOdd Numbersは、どこからともなくやって来たわけではない。と言うのも、メンバーはSuzanne Kraft、Secret Circuit、Willie Burnsなのだ。そして彼らが初めて一緒に発表する「Break Even」に収められた音楽はレーベル内で最も分かりやすい音楽の1つとなっている。 もちろん、分かりやすいという言葉は、この3人とレーベルにとっては相対的なものだ。やるべきではないと承知の上で遊び心、ビンテージ感、キャッチーさ、という分かりやすさを取り込んだ「Break Even」を、個性が無いと責めることは出来ないだろう。暖かい天候に恵まれた空気をふんだんに盛り込み、各プロデューサーが持つサウンドの特質をほぼ等しく引き出した"Riviera"は、もしかしたら彼らがヨットの上で誰にも邪魔されずに制作したものなのかもしれない。彼らだけが心に描くことの出来るようなサマー・ジャムで、フルート、ホイッスル、ボンゴ、そしてワイルドでひたむきなボーカルによるチープな演奏が洗練さと共につなぎ合わされている。テンポが遅く、よりシンセを多用した"Sliding Door"ではSecret Circuit的な方向性に進んでおり、一方、"Piper's Delight"では、BurnsのBlack Deer名義での作品における壮大さにバレアリックな日差しが降り注いでいる。最後に収録された"UFOtube"はほぼハンドクラップ、バウンシーなベースライン、シンセ・コードによるトラックだが、そのシンプルさは非の打ち所が無い。ハウス界の奇人3人が集うのと同様、このトラックも完全に的を得ている。
  • Tracklist
      A1 Riviera A2 Sliding Door B1 Piper's Delight B2 UFOTube
RA