Wata Igarashi - Junctions

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  • ベルリンを拠点とする新たなテクノ・レーベルMidgarの最初のレコードとなる「Junctions」がWata Igarashiから届けられた。多岐に活動する日本人ミュージシャンである彼は東京のディープ・テクノ・シーンにおけるキー・パーソンだ。Igarashiが頻繁に参加していた東京のパーティー兼レーベルにMarianaがある。このMarianaを支え多くの人に愛されたアーティストであるDave TwomeyにこのEPは捧げられている。本作には、ニュアンスに微妙に違いをつけた空間的な4つのトラックを通じて、自身のスタイルに磨きをかけるIgarashiの姿が収められている。 吹き上げるドローンと泡立つエフェクトを用いた"Junctions"は、シンコペートするキックによって打ちつけられている。メロウで意識内に深く浸っている印象がある一方で、逆サイドの"The Summon"は強度が増しており、鋭利なシンバルやハイハットのアレンジと不穏に音を立てるオフビートがフィーチャーされ、本作で最もタフでフロア仕様のトラックに仕上がっている。残りの2つのトラックはBPM110程度のテンポとなっており、シンプルで隙間を十分に取ったスタートを切る"Flare"では、緩めの4つ打ちとメロディ要素を散在させているが、徐々にミックスの中に暖かみのある303のリフと絶妙に吹き抜けるパッドが立ち上がってくる。"Flare"を天高くクルージングしているようなトラックだと形容するならば、"Hitodama"は深い霧を生み出すブリープ音と酩酊するサイファイ・サウンドが渦巻く宇宙を漂っていると言ったところか。しかしただ彷徨っているというわけではなく、最後に刺激的なシンセが構築されていく中に、このトラックの狙いが、そうでなければ、少なくともトラックの方向性が定められていると言っていいだろう。
  • Tracklist
      A1 Junctions A2 Flare B1 The Summon B2 Hitodama
RA