Naoki Shinohara - Dimension EP

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  • ModuleではKlassを、OathではLarry?を不定期に開催してきたNaoki Shinohara。ハウスを軸としたパーティーを主催しオーガナイザーとしての存在を確立してきた彼が、2012年にはFred Pが主宰するSoul People Musicの「Earth Tones 3」に初めて楽曲を収録された事で、トラックメーカーとしての方向性も推し進める事となった。その結果としてその後もPanrecordsやXDBが主宰するMetrolux Musicのスプリット盤にも楽曲が収録されるが、フロアでの経験を活かしたであろうその音楽性は決して派手ではないものの、無駄を削ぎ落としながらタフな4つ打ちを刻み、控え目に幽玄なエモーションを発するトラックはDJ仕様として長けている。 そして新作はまたもやSoul People Musicが送る「Boards」シリーズの3作目としてリリースされたが、ここにきて以前よりも更に燻るような情熱を内面に隠し持った音楽性が確立され、トラックメーカーとしての才能に磨きをかけている事が感じられる。タイトル曲である"Dimension"は鋭利なハイハットが淡々とビートを刻んでいくが、闇の中に浮かぶ朧気なパッドと稀に静謐に浮かび上がる繊細なピアノにはメランコリーさえ感じられ、フロア指向の機能的なビートと情感のある音楽性を自然と両立させている。同様にピアノの音色を導入してどこか物悲しささえも漂うパーカッシヴなハウスに仕立てた"78"、無機質ながらもリラックスして揺蕩うような流れに突如として淡くエモーショナルなメロディーが現れる"Nightfall"と、確かに抒情的ではありながらも決してやり過ぎず一歩後ろに下がったような控え目感がクールで、静謐な空気さえもが閉じ込められている。そして注目すべきはレーベルオーナーであるFred P自身がリミックスを行った"Dimension (Fred P Reshape)"で、原曲に跳ねる骨太なキックや宇宙の広がりを感じさせるパッドを付け加えながら、丁寧に壮大でエモーショナルなテック・ハウスへと生まれ変わらせているのが見事だ。しかしこうして国内のDJの楽曲がSoul People Musicという海外の実力あるレーベルに採用された事は、日本だけでなく世界から注目を集める契機にはなるであろうし、今後の展望に期待せずにはいられない。
  • Tracklist
      A1 Dimension A2 78 B1 Nightfall B2 Dimension (Fred P Reshape)
RA