Floating Points - King Bromeliad

  • Share
  • この2トラック入りのシングルは、昨年の片面シングル「Wires」以来となるFloating PointsことSam Sheperdによるソロ作品だ。「Wires」での壮大さと同じくらい豪華に仕上がった今回のシングルだが、若干ではあるが、よりダンス・フロアに接近した内容となっている。タイトル・トラック"King Bromeliad"は、パーティー会場の談笑からスタートし、歪んだ低域のグルーヴが徐々に聞こえ始める。そして会話の声が徐々に消え去っていくと、キーボードによるメロディの断片がスネアと共に弾みながら展開していく。この2つをメインの素材としたクリーンでジャズ色の強いナンバーだ。クッションのように柔らかいベースの旋律がトラックをリードし、にわかに現れるメロディがトラックを明るく彩っていくが、ベースが再び息を吹き返してくるにしたがって、そのメロディは姿を消していく。ちょうどいいペースで進む優しくファンキーなアレンジだ。 逆面に収録されているのは、彼方から聞こえてくるパッドと徐々に立ち上がってくるベースラインによって始まる11分に及ぶトラック"montparnasse"だ。その始まりは微かに聞こえるささやきのようだ。天空から聞こえてくる声と細かく刻まれるサウンドがこだましながら増幅と減衰を繰り返し、やがてハイピッチに奏でられる多幸感溢れる旋律が優雅に降り注いでくる。焦ることのない落ち着いた自信に溢れる見事なトラック2曲を収めた「King Bromeliad」を聞けば、Sam Shepherdの作品をもっとたくさん、今すぐにでも聞きたくなることだろう。
  • Tracklist
      A1 King Bromeliad B1 Montparnasse
RA