Acteurs - I W I

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  • 昨年のミニ・セルフ・タイトルLP『Acteurs』に続き、Acteursの2枚目のリリースがロンドンのレーベルPublic Informationから発表される。「I W I」は『Acteurs』と同じ文脈にあるが、定まった形を持たないものへとより近づいており、Actrursの2人は、厳粛な雰囲気とジットリとした質感を生み出すために、フックとなるものを排除している。 緊張感のあるリズムがほとばしり、無表情なボーカルを濃霧の中へと拡散させることによって、1曲目の"Pride Of Classes"の印象は決定されている。歪んだ叫びとドローン・サウンドが、クモの糸のようにトラックにまとわりついているにもかかわらず、サウンドとサウンドの隙間から、トラックが持つパワーが生み出されており、広大に広がる空間からは、どことなく脅威のようなものが感じられる。Acteursのダークな遊び心を、ボイスを使って表現したのが"Ewe"だ。フィードバック音とスタティック・ノイズがぐちゃりと鳴らされる中、同音異義語を坦々と発する低いボーカルがパンニングされている。閉所恐怖症的であり、途方にくれてしまうこのトラックには、電子音がびっしりとこびりついている。 2つのトーンからスタートする"Honey Bear"だが、トラックはすぐに崩壊し、隔絶され、じめっとしたものへと変化していき、ドローン・サウンドや、轟くフィードバック、不気味なスポークン・ワードによって、トラックの雰囲気は厚みを増している。"River Card"や、タイトル・トラック"I W I"は、もっと構造的な作りだが、それでも劣ることなく情感を刺激する。前者のトラックでは、2つの単語を繰り返し、殺伐としたダブ・コードにエコーをたっぷりと塗りつけることで、強烈な雰囲気を実現している。一方"I W I"での乾いたドラムと、ボーカルとノイズの断片は、自ら崩壊しているかのようだ。
  • Tracklist
      A1 Pride Of Classes A2 Ewe B1 Honey Bear B2 River Card B3 I W I
RA