Dat Oven - Icy Lake

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  • 再発作品が現在のトレンドと同じように聞こえることは稀だが、1998年にリリースされたDat Ovenの"Icy Lake"は、現行のサウンドと一緒にミックスされても、誰も違和感を抱くことのないトラックだろう。トライバル・ハウスのプロデュース・ユニットDat Ovenは、この"Icy Lake"を含めてこれまでたった3曲しか制作しておらず、Fade To MindのプロデューサーTotal FreedomはYouTube上でこのトラックを「発見」し、そのダンス・フロア仕様のアイデアが自身のレーベルとしっかりと馴染むサウンドだと気付いたようだ。 留守番電話のメッセージからサンプリングしたサウンドが"Icy Lake"の核となっている。「I just thought I'd call before I throw myself into the icy lake / 凍った湖に身投げする前に電話しようと思っただけなんだけど」という歌詞がトラック上に切り刻まれ、その声はサイボーグのような質感を帯びていく。ガラスのようなシンセとカチカチと刻まれるパーカッションは、トラックがバラバラに弾けていきそうになるまで緊張感を増していく。奇しくもエスキー・グライムの到来を予見していたかのようだ。その後トラックは、胸を蹴られているかのようなドラムのアタック、不吉な電話の呼び出し音、そして眩いシンセを点在させながら、過激なグルーヴへと展開していく。 L-Vis 1990は2つのバージョンで"Icy Lake"をリミックスしている。最初のリミックスでは、メロディと電話の呼び出し音をわずかに用いており、そのサウンドが重低音とノコギリのようなパーカッションの向こう側に立ち上がってきたとき、これまで以上に不気味な空気に満ちている。もう1つの"Fire Alam Remix"は、耳をつんざくアラーム音と矢継ぎ早なパーカッションによるさらに妥協のないトラックだ。Total Freedomによるテクノ・リミックスでは、スムーズなボーカルとシンセのモチーフが加えられているものの、トラックに広がる残忍性は和らぐことはないようだ。NguzunguzuのNAとRashadは、"Icy Lake"を躍動感溢れるフットワーク・トラックへと作り変えている。重要なのは、こうしたリミックスは、"Icy Lake"をアップデートするというような陳腐なことをしているのではなく、このトラックがいまだにモダンに響くことを強調しているということだ。
  • Tracklist
      A1 Icy Lake (Original Arena Mix) A2 Icy Lake (L-Vis 1990 Remix) B1 Icy Lake (Total Freedom Remix) B2 Icy Lake (Rashad & Na Remix)
RA