Function & Inland - Odeon / Rhyl

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  • Sandwell Districtと共に約10年という月日を経た後にリリースされたデビュー・アルバム(英語サイト)や、Berghainでのレジデントもスタートさせるなど、昨年は、FunctionことDavid Sumnerにとって前進の1年となった。この流れを受け、長らく休止状態にあったセルフ・レーベルInfrastructureを再始動し、彼のキャリアにおける回顧的な作品が、新作と並行してリリースされることがアナウンスされた。かといって従来の回顧主義とは異なり、時代に逆行することのない作品に注視しているようだ。そのレーベルの第1弾となるリリースは、新たな共同運営者であるEd DavenportことInlandと共にプロデュースされたもので、これまでのスタイルを完全に変化させているわけではないが、いつになくSumberがインスパイアされている状態にあることを示す新感覚が、本作からは感じられる。 2000年に発表されたPhotekによるアンビエント・トラック"Under The Palms"を素材として取り込んだ"Odeon"は、心臓の鼓動が響くようにビートを刻むキック上に、ゆっくりとサンプリングしたサウンドを展開させている。オリジナル・バージョンには不気味かつ広大な雰囲気が漂っていたが、ここではその空気は圧縮され、まるで押しつぶされた地下室に野外にいるような景色が広がっており、クラブ明けの空間から、地中へと突き進むテクノを生み出しているかのようだ。圧迫感の薄まった"Rhyl"は、それでもなお機能性を保っている。同系統のサウンドを用いてアレンジされたこのトラックでは、暗黒の中をシンセが漂い、かろうじて聞こえるブレイクビーツ上を悲鳴のような声が響き渡っている。そのブレイクビーツは周囲とは全く無関係に鳴らされているように聞こえるほどだ。クリック音と破裂音が徐々に空間の一部を埋め尽くしていくが、その感覚には、"Odeon"での圧縮感と同じく、広大かつ剥き出しの風景を見い出すことが出来る。Sandwell Districtの活動停止にショックを受けているファンにとっては、Sumberが次なる展開を繰り広げていながら、一番最初に虜にさせられたあの特徴的な感覚が失われていないことは、喜ばしいニュースだろう。
  • Tracklist
      A1 Odeon B1 Rhyl