Beneath - Vobes

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  • Beneathとエクスペリメンタル・ミュージックの拠点レーベルPANという組み合わせには、違和感を覚えていた。その仕上がりを聞くまでは。イギリスのプロデューサーBeneathによる打ちのめすようなブロークン・ビーツは明らかにダンス・フロアに向けて調理されたものだが、「Vobes」では、そうした基盤となる部分をオープンな姿勢で提示している。最近のリリースでは、自身のサウンドをスリム化することによってハウスやテクノに接近する作品へと変化させていたが、PANでのリリースでは、新たなプラットフォームを用いて、原点回帰しつつも、ダブステップに影響を受けた初期のルーツとなる部分はそのままに、様々な影響を取り入れている。「Vobes」は間違いなくこれまでのBeneath作品の中でベストとなるEPだ。 4曲入りの本作は、レフトフィールドな"Bored 2"でスタートする。自由に漂うドラムとインパクトの上で歪むIDM的なレーザーのようなシンセとオーケストラ・ヒットで満たされたトラックだ。このトラックでBeneathは牙をむいている。全サウンドが見事にアンバランスになるまで、これでもかというほどヘビーなサウンドを詰め込んでいるのだ。スローかつ入念なトラック"One Blings"では、カタカタと叩かれるドラムと焦燥感溢れるメロディの断片が渦巻く空間を、超ダビーなベースラインに乗って突き進んでおり、彼のミュージックが内包するテンションには、抗いようのないパワーがあることを示している。 他の2曲からは、Beneathの過去作品におけるロンドン・イズムがより感じらる。"Occupy"は慌しいパーカッションの中を圧縮されたクラップが刻まれる単純明快なトラックだ。EPの幕を閉じる"Stress 1"は、モールス信号のように整然と刻まれるビートによる枠組みの中を、きらめくリズムとサウンドが駆け巡る眩いコントラストとなっている。
  • Tracklist
      A1 Bored 2 A2 Occupy B1 One Blings B2 Stress 1
RA