Jacques Greene - Phantom Vibrate

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  • 「Phantom Vibrate」とは、実際に携帯電話が鳴っていないにもかかわらず、バイブレーションが震えていると感じる現象を指す。このタイトルは、Jacques Greeneによるインターネット世代の大胆なユーモアを反映しているが、本作はカナダ人アーティストである彼のリリースの中でも最もメランコリーな作品の1つとなっている。普段、彼の作品にたっぷりと注がれているじっとりとした哀愁が、LuckyMeからリリースとなる彼の最新作では、さらりと取り入れられており、昨年、How To Dress Wellとコラボレートした"On Your Side"(英語サイト)での演出を、2012年のトラック「Ready」(英語サイト)でのボトムの効いたサウンドと組み合わせている。 彼のトラック"(Baby I Don't Know) What You Want"が活動初期で最も成功を収めたものだとしたら、今回の"No Excuse"は現時点でのそれにあたる。イントロでは口の中でとろけるようなシンセと、何か言葉を発しているかのように漂う流動的なボーカルがフィーチャーされ、ウィジャ・ボード(こっくりさんのような降霊術用の板)を通じて言葉を得ているかのようにすら感じる。しかし、ビートが入ってくると、トラックはルードに展開していき、造船所でサンプリングしたかのような頑丈なリズムと驚異的な重低域の勢いに、うっすらと漂うメロディが押し付けられている。こうした彼にとってお馴染みのサウンドは、頻繁に模倣されてもいるが、"No Excuse"では、そのサウンド上において、力強く新たな展開を見せており、Greeneがまだまだトリックを隠し持っていることを証明している。 隙間を十分にとった"Time Again (Feel What)"でも、同様の世界観が広がっており、ぼんやりとしたバックグラウンドのサウンドに壮大に響くドラムが打ち付けられている。この華麗なアレンジに加えて、このトラックでは、まばゆく輝くオルガンとゴスペルに似せたボーカルが用いられ、まるで大聖堂のホールにいるかのようだ。そして本作の最後には、回顧的なサウンドが収められており、"Night Tracking"では、きらきらとしたシンセをリバーブに浴びせ、囁くように静かで弾力のあるベースラインが、その下でうごめいている。柔らかく進んでいき、夜明けに向かって上昇していくんでいくこのトラックは、Joy Orbisonの"So Derobe"や、ポスト・ダブステップの実験的なトラックを思い起こさせる。
  • Tracklist
      01. No Excuse 02. Feel What 03. Night Tracking