Dana Ruh - Naturally

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  • ブッキングを得ようとするためではなく、自分自身のために音楽を作り出したとき、もしくは、レーベルが期待するものに合わせるのではなく、その制約から解き放たれて制作を始めたときこそ、アーティストは真に輝き始める。しばしば話題になるトピックだが、ドイツのDana Ruhはまさにこれにあたる。Buzzin' FlyやCocoonなどのレーベルから機能的で質素に仕上げたテック・ハウスやミニマル・ミュージックを長らく制作していたが、最近では自分自身に回帰し、よりパーソナルでディープな新しいハウス・サウンドと共に再びリリースを果たす。その結果が『Naturally』、UnderGround Quality(UQ)から発表となるRuhの上品なフルレンクス・アルバムだ。 UQのボスJus-Edは常に閑静で浮遊感のあるフューチャリズムを自身のレーベルにもたらしている。Ruhによる影のある新たなサウンドはこの音楽観に完璧にフィットするものであり、ここに収録されたトラック全てに、サウンドが漂い込むじっとりとしたスペースがある。そのほとんどは、ほぼキック・ドラムとうっすらとしたパッド、そして魅惑的なベースラインによって構成されており、Ruhは音数の少ないトラックを制作するときが最も素晴らしい。ディープな魅力を放ちながら放浪する"May Cave"や、粒立ちの荒いダブが立ち込める洞窟に迷い込んだかのような"Dirty Egg"などが好例だろう。サブリミナルなリズムによって、中核にある柔らかな部分へと導かれる広々としたトラックだ。 本作を楽しむのに徹底解剖する必要はない。最初から最後まで、いとも簡単にリスナーの意識を掴むからだ。雨の降る音とボーカル・ループのささやきによる"Solstice"によるアルバムの幕開けは、親しみの沸くものであり、同時にしっかりと作品に引き込むものでもある。その後、グルーヴは執拗に立ち上がってきて、汗ばむハウス"Got To Work"で最初のピークを迎える。この方向性のまま突き進んできたら、やがて疲れてしまうので、ディープで波打つアシッド・サウンドが特徴的な"Education"では、テンションが巧みに押さえられ再構築されている。こういう風に言うと、陳腐に聞こえるかもしれないが、自分自身に忠実であることこそ、あるべき姿だということを、本作は実例として証明してみせている。
  • Tracklist
      01. Solstice (Intro) 02. Don't You Find Me 03. The Wish You Told Me 04. Go To Work 05. Education 06. Jammin 07. Just Don't 08. D's Interrupt (Dub) 09. Dirty Egg 10. My Cave 11. Train Ride To You