- MachinedrumことTravis Stewartの夢に現れていた架空の都市をベースに制作された『Vapor City』はウェブ上で展開し光り輝くインタラクティブなページの他、EPや無料ダウンロードでのリリースへと派生している。その最新の動向となるのが「Fenris District」だ。このタイトルは架空都市Vapor Cityにおけるバーやナイトクラブが立ち並ぶエリアの名前であり、このEPは芯まで震えるビートとハードに打ち付けるダンス・ミュージックのハイブリッドとなっている。
"Back Seat Ho"はフットワークのパイオニアであるDJ Clentのサンプルを許可なくStewartが偶然使用してしまったことで非難を浴びたトラックだが、BPM170のこのトラックは実際のところ、フットワークの地元シカゴのサウンドというよりもイギリスの影響が色濃く表れたよりハードなものになっている。ハーフテンポの力強くタイトなドラム＆ベースのリズムによって発狂するかのような緊張感をボーカルに与えている。Stewartによる迅速な作業の魅力もあるが、野獣のような機能主義はそれだけで清々しく感じられる。Rustieによるリミックスではリズムが歪んだパターンへと変形している。無謀にもシンセを積み重ねており、トラックは特に何も起こることなく行き詰って終了している。
"On My Mind"は分類不可能なベース・ミュージックが色々と集まって生まれたものだ。綺麗に整えられたレゲエのコードの上をなめらかに展開し、時折8ビットのサウンドの洪水が中域を埋め尽くしている。狂ったようなベースラインとなだれ込んでくるドラム・サンプルが用いられた"Newjack"はEPROMの"Regis Chillbin"にようなトラックだ。Stewartはこのトラックのリミックスもしている。本作のハイライトはSherwood & Pinchによる"Eyesdontlie"のリミックスだろう。BPMを160に設定し、シュルレアリズムにサウンドをぼかしている他、ドラッギーなエフェクトを加えて、眩暈を起こしそうになるほどトラックの焦点を移動させている。
TracklistA1 Back Seat Ho
A2 Back Seat Ho (Rustie Remix)
B1 On My Mind
B2 Neujack