Awanto 3 - Opel Mantra

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  • Awanto 3ことSteven Van Hulleは活気溢れるアムステルダムのハウス・シーンを担う存在の1人だ。このシーンには彼と頻繁に共同制作を行っているTom TragoやSan Properらもいる。この2人以外のプロデューサーと制作を共にしながら多くのリリースを果たしてきた彼だが、ソロでの作品はほとんどリリースしていない。『Open Mantra』は彼の個性が溢れんばかりに発揮された長編デビュー・アルバムで、良い意味でまとまりがなく、彼のぶっとんだ部分を垣間見ることができる作品だ。楽曲は3枚の12インチに分かれており、アルバムと呼ぶにはちょっとためらいがあるかもしれない。座って聞くにはまったく向いていない内容でもある。しかし、おそらくもっと大事なのは、この作品によってAwanto 3がアーティストとして価値を自らの手で確率しているところにある。日差しを目いっぱいに浴びる喜びに満ちた内容は、たとえ、若干やり過ぎなところがあったとしても、このアルバムを嫌う人はほとんどいないだろう。 どの盤もそれぞれはっきりとした個性を持ち合わせており、こうした個性をつなぎ合わせるものがあるとするなら、それはVan Hulleによるアップビートなアレンジメントだろう。アフリカ音楽とラテンのリズムをルーツとなる部分でディープに織り合わせ、"Dikkiedik"でのちょっとしたスイング感のようにシンプルな展開でさえ、特別に感じさせるほどの活性に満ちている。1枚目の盤では、Van Hulleはサンプリングしたドラムとナイロン素材のようなシンセサイザーによるシンプルなコントラストだけで、驚くほど長くグルーヴのテンションを保っている。"Su What?"や"The Wall"は、漂うリズム・トラックの下でなめらかな低域のコードが奏でられ、早朝を彩る素敵なディープ・ハウスに仕上がっている。この盤単独でも、画期的なリリースになっていただろうことは想像に難くない。 2枚目の盤になると少し勢いが弱まっている。同様に生きているかのようなドラムはヒッピー・ダンスの際に聞くことの出来るようなサウンドへと変化し、途中でテンションがだれたりしないようにするためのリード・メロディは用いられていない。10分間に渡る"Cowbelgian"はスモーキーなハンド・パーカッション・ジャムを展開するトラックで、良い塩梅でくすぶりながら展開しており、ファンクネスを感じさせない奇妙な感覚を生み出している。他にもサンバ風トラック"Baila Con Paula"が収録されており、9人編成によるジャズ・バンドJungle By Nightによって新たな要素が加えられ、テレビのバラエティ情報番組で使われていそうなトラックになっている。こうした展開のため、Van Hulleのことをこてこてのネタをやるやつだと思う人がいるかもしれない。リスナーがどれだけシニカルかによって、こうした性質は愛らしい持ち味にもなりうるし、イライラさせる原因にもなる。 『Awanto 3』ではほぼ全編に渡って遊び心に溢れた感覚が漂っており、彼はそれを止めることが出来ないようだ。何より彼の音楽は楽しくアップリフティングなものである。一方、3枚目の盤は本作がアルバムと名乗るための口実となっているように感じる。これをクラブ・ミュージックをリリースするための効果的な方法としてみなす人もいるかもしれない。本作の3枚のアナログのうち、少なくとも2枚は純金並みの価値があり、その価値が作品全体に広がっている。多くのプロデューサーのデビュー・アルバムよりも多くを提供してくれる作品だ。
  • Tracklist
      Part 1 01. Su What? 02. The Wall 03. Applecake 04. Su What? (Jameszoo remix) Part 2 01. Boogiedownpopke 02. Knocke Now 03. Cowbelgian 04. Baila Con Paula feat. Jungle By Night Part 3 01. Dikkiedik feat. Tom Trago 02. Bubbles Made Me Cry 03. Jillinekrace 04. Talk Together