Killing Sound - Killing Sound

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  • Killing Soundはエンドレスに勾配を繰り返すコレクティブ、Young Echoから生まれた新たなプロジェクトだ。今回はメンバーの内、Vessel、El Kid、Jabuが舵を切っている。Killing Sound名義では初の単体作品となる本作に収められた影を落とすアブストラクトな世界観はYoung Echoのファンにとってはお馴染みのものだろうが、ここでは最も根元の部分にある本質に迫るまで様々な要素が削ぎ落とされている。その結果生まれる、黄褐の色をしたざらついた鐘の音と水中で聞いているかのようなリズムが一体となり瞑想を繰り広げる様は、Blackest Ever Blackの音楽性と非常に相性の良いものだ。一方、Young Echoのメンバーが展開するプロジェクトの多くはサウンドシステムの視点を重要視しており、本作でも引き続きその価値観が作品の中心に据えられている。12インチ2枚組に収録された4つのトラックは片面に1曲ずつプレスされており、ラウドネスと低音特性を最大限に活かしたパッケージとなっている。そして音楽的にも、アレンジ処理と音ネタの両面においてダブの概念がはっきりと打ち出されており、例えば、乾いたスカンクなコード・ワークとサイレン音によってスタートする"Thousand Hands"は、後半になるとマシンガンの弾を取り外してスプリング・リバーヴをかけたようなサウンドが加えられている。一方、"Water Boxing"では、ノイズが乗った古いルーツ・レゲエのイントロからサンプリングしたようなサウンドが低音圧における緊張感溢れる実験にまで変容させられている。 それ以外のトラックでは、Killing Soundの3人は一般的なイメージに近いダークネスを展開している。薄暗い教会にいる僧侶たちの風景を想起させる空気が"Six Harmonies"には漂っており、若干ながらありふれた感じがしないでもない。しかし、スタジオで慎重に制作されたのではなく、リアルタイム・パフォーマンスによって収録曲が生まれたにもかかわらず、サウンド処理のクオリティが非常に高く保たれている点は特筆すべきだろう。合唱している声からサンプリングした劣化したサウンドをぶつ切りにした素材と、嘆いているかのようなベースによる旋律が用いて、同様の空気をより精巧に作り上げた"Eight Methods"は、Tropic Of Cancerによる音数少なめのトラックを彷彿とさせる。しかし、単に悲しげな雰囲気を作って終わりなのではなく、知覚可能かどうかギリギリのラインでゆっくりとピッチを落としており、永遠に続く一縷の儚い感覚を生み出している。決して訪れることのない夜明けに向かってゆっくりと闇の中へと沈んでいるのだ。
  • Tracklist
      A1 Six Harmonies B1 Thousand Hands C1 Eight Methods D1 Water Boxing