- SmallvilleやAimといったレーベルが展開しているようなフェザー級のディープ・ハウスをプレイするDJにとって御用達となっているChristpher Rauの作品は非常に信頼できるものだ。しかし、BaazのレーベルOffice Recordingsから初のリリースとなる本作では、2012年に展開していたメインストリームとは離れたアプローチを取っており「Broke」においてRauはユーズド加工したジーンズのように擦り合わせたビートを用いている。
長尺のAサイド"Mehris Groove"は普段のRauの長閑な作風よりもノリが強く、奇妙なサウンド・エフェクトと遠近感のあるサンプルが駆使されている。"Broke"はさらに激しいが、注意深く処理されている。鉄の入ったブーツの先で叩いているようなキック・ドラムの下の帯域で鳴らされるベースラインが非常に力強く、微かにではあるがディスコのストリングスを感じさせるメロディが挿入されている。本作で一番変わっているのは"Im Sumpf"だろう。眠たげなビートを囁き声と水滴のサウンドで飾り付けしたこのトラックはうっとりするほど繊細に作られている。しかし他の2曲とは異なり、イメージを覆す要素と機能的な要素のバランスが上手く取れていないようだ。
TracklistA Mehris Groove
B1 Broke
B2 Im Sumpf