San Proper - The Culture EP

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  • アムステルダムのプロデューサーSan ProperのデビューLP『Animal』は、彼の作品の多くと同様、サイケデリアに満ちたオルタナティブな音楽を深めるにあたっての出発点としてハウスという音楽を捉えていた。それから2年、「The Culture EP」では彼が新たな方向性へ進んでいることが分かる。今回はProperのレーベルCultから発表されており、機械音と金属音を彼ならではの輪郭の霞むようなアレンジで提示する4つのトラックを収録している。 "Sirene"は歯切れのいいベース上で展開する躍動感に溢れるトラックで、うっすらと軋むように進行していくにつれ、インダストリアルなサウンドが加えられていく。"This Bucks"は収録曲の中で最も陰鬱なトラックとなっており、リスナーをダンスフロアへと追いやるようなものでは決してない。鮮やかに輝くギター・サウンドとありえないほど低い位置で鳴っているベースがしっかりとトラックを支え、その上を声と深いエフェクトが漂いながら、ふつふつと瞑想しているかのような感覚を作り上げる。 "Wicked Bushes"はブリーピーで比較的パンチの効いたサウンドを展開するオフ・シュートなトラックだ。遠方から聞こえるパッドと首を絞めつけられているかのような声、そして奇妙な動きを見せるベースに対し、カサカサと音を立てながらはずし気味に鳴らされるシンセ・サウンドが猛烈な勢いで迫っていく。最後に収録された"Hitch House"は、堂々と響き渡る6連符のフレーズを不動のベースラインとかすかなエフェクトと組み合わせ、全体像を際立たせながら歪んだ音を立てる声が立ち込める空間へと最終的に収まっていく。テンションを抑えて、どこか謎めいた部分とアイデアが詰まった「The Culture EP」は非常に興味深いリリースだ。本作を1枚目としてリリースしたCultは今後も引き続きチェックする価値のあるレーベルとなるだろう。
  • Tracklist
      A1 Sirene A2 Hitch House B1 Wicked Bushes B2 Thirty Bucks
RA