Lucy - Churches Schools And Guns

  • Share
  • 壮大に吹き荒れる驚異的な電子不協和音"The Horror"によって『Churches, Schools And Guns』はスタートする。このトラックを聞けば、Lucyが現在どういう立ち位置にいるのかがよく分かる。今回、前半の7曲でトラックのタイトルが暗示しているのは疎外感というテーマだ。ベルリンを拠点に活動するイタリア人プロデューサーであるLucyことLuca Mortellaroはテクノを通じてそのテーマを表現しようとしており、トラックには殺伐としたムードが漂っている他、そのほとんどが非常にスローなペースで展開している。しかし、その誠実さと構成力によって、さらには、リスナーを嘲笑うかのように寒気を覚えるミステリー空間へと誘う"The Self As Another"のようなトラックによって、彼のセカンド・アルバムの前半部は感情的に鷲掴みにされるものであり、謎めいたクールさに満ちている。同じフィールドでは、Kerridgeも同様に力を内包する絶望の音色を生み出していたり、Dozzyが浮世離れした壮大な感覚を伴うリアルな苦悩を表現しているが、一方の『Churches, Schools And Guns』は非常にドライだ。希望を失い、怒りを露わにさえしており、結果、深く抑圧的な仕上がりとなっている。 そして続く"The Illusion Of Choice"では一気にエネルギーを噴き出し、異常な感覚を与えている。サンドペーパーのようにざらついた質感ながら、恐ろしく楽しめるトラックであり、ブラジリアン・シミー・ダンスのように臀部を振るわせながら、弾力性のあるディープなベース・ループの上を刺激的なブリープ音が浮遊している。Tobiasの"Skippy"(英語サイト)の同様、反復により生み出される完璧な作品だ。ゆっくりと立ち上がってくるテクノは9分間に及ぶが、40分間、延々と聞き続けることの出来る可能性を秘めたトラックだ。続く"We Live As We Dream"はさらに素晴らしい。氷河のような気品と水銀のようなリズムが不規則に打ち付けされ、最も美しい作品を制作していた頃のAutechreを彷彿とさせる。 GasミーツPercとも言える"All That Noise"や、フリークアウトした遊園地のオルガン奏者をAphex Twinがリアルタイムでリミックスしているかのような最高に狂っている"The Best Selling Show"と一緒に前述のトラック2つがEPとしてリリースされていたとしたら、テクノ界における驚異の天才が生み出した感動的作品となっていたかもしれない。しかし実際のところ、アルバムとしてリリースされた『Churches, Schools And Guns』では、Lucyの真価の一部だけがちらつくに留まっている。
  • Tracklist
      01. The Horror 02. Leave Us Alone 03. The Self As Another 04. Human Triage 05. Laws and Habits 06. Follow The Leader 07. Catch Twenty Two 08. The Illusion Of Choice 09. We Live As We Dream 10. All That Noise 11. The Best Selling Show 12. Falling feat. Emme