George Paar & Yuji Kondo - Man No Shadow

  • Share
  • Par Waxの6枚目のリリース「Man No Shadow」はレーベルのボスであるGeorge PaatことJorge CastilloとYuji Kondoの2人のトラックを収録したものだ。Castilloはいつものドローンと音圧の壁によるテクノを提供している。彼のトラックを5秒程度聞けばその音楽を好きかどうかふるいにかけられるほどアクの強い作品だ。"Modern Inception"は抑制の効いたトラックで、膨張するベースと遠くでこだましている高域が織り成す相互作用が特徴的だ。違った視点で捉えた躍動感とサウンドのレイヤーによって面白い仕上がりになっている。"Dwelling In Ignorance"ではペースが速まっているものの、こうしたニッチなサウンドの領域において違いや個性を生み出すのに必要な微細な感性に欠けているように思う。 本作で個人的に惹きつけられたのはKondoの方だ。日本人プロデューサーであり、過去のにはSemanticaやPerc Traxにもその名を連ねている。無骨なリズムの上に気が狂いそうになるほどの分厚いノイズを重ね合わせるなど、彼はテクノに対してよりアヴァンギャルドなアプローチを取っており、今回の2曲では強い魅力を放ちながら同時に不気味な雰囲気を携えている。"Indefinitely Discreet"ではアブストラクトな仕上がりとなっていて、タイトル(Indefinitel / 無期限に - Discreet / 控えめ)が暗示するようにこちらもストイックなトラックだ。1小節中に2つのキックが用いられ、その中で前後に激しく傾いている他、不穏な空気と解読不可能なささやき声によって空間が埋め尽くされている。アタックの強いイーブン・キックが作り出すオフビートの上を2つの音階で作り上げられるサイレンがうねりをあげる"Know Where"では、ピーク・タイムの雰囲気を一気に演出していく。本作での他のトラックと同様に真っ暗なダンスフロアでのみ機能し得るであろう作品だ。
  • Tracklist
      A1 George Paar - Modern Inception A2 George Paar - Dwelling In Ignorance B1 Yuji Kondo - Indefinitely Discreet B2 Yuji Kondo - Know Where
RA