DoubtingThomas - The Fall EP

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  • 今年バルセロナで開催されたSonar Festivalでのブレインストーミングから生まれたCatch Recordings。イギリスの音楽業界で長年の実績を持つRob Chadwick、Brett Sinclair、そしてJohnny Cadeによるレーベルだ。フランス生まれ、現ロンドン在住のプロデューサーDoubting Thomasによってレーベル1作目となる4つのトラック(アナログ盤には内3トラックが収録)が届けられた。Valentina CXによるボーカルによってエレクトロニックポップへと変身したタイトルトラックと共に、本EPは広範かつ抑制の効いたアプローチをハウス・テクノミュージックに持ち込んでいる。 1曲目に収録された"Bite The Bullet"の曲長が約9分30秒にも及ぶ中、一切のフックはおろか、よくありがちな印象を残そうとする展開も無い。代わりに、激しく際どいキックとうっすらと渦巻くパッドシンセを伴ったテンポの良いベースラインが強調されており、その結果、驚くほどの求心力が生まれている。"Your Name Here"には音素材が若干ながら付け足され、か細く鳴らされるチャイム音、痛ましい悲しみに満ちたシンセ、人の雑談をサンプルしたものなどが跳ねるリズムの上に配置されている。"La Métamorphose"では少しワイルドさが増しており、時折用いられるグリッチ音と接合された柔らかく包まれたようなアップリフティングなグルーヴがベースライン上を覆い尽くしている。このベースラインもやはり抑制されてはいるものの本作では最も躍動感がある。タイトルトラック"The Fall"では比較的短い曲長の中、歌モノの括りにおいてこの楽曲は制作されており、Valentica CXによる独特の甘美なフロウが見事にダビーなトラックと組み合わされている。このトラックはもしかすると本作で最も魅力が伝わりやすいものかもしれないが、他の収録曲も何度も聞かれるべき仕上がりになっていることを忘れてはならない。
  • Tracklist
      A1 Bite The Bullet A2 The Fall feat. Valentina CX B La Metamorphose
RA