Cuthead - Everlasting Sunday

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  • CutheadことRobert Arnoldはヒップホップをこよなく愛する男だが、ハウスミュージックに移り気な態度を見せた結果、Uncanny Valleyにおいて最も愛らしい存在になろうとしている。ドレスデンに居を構えるこのレーベルから2枚目となる本EPでは、彼の個性が見事に両面にスプリットされており、A面はハウス、B面はゆったりとしたヒップホップとなっている。一貫性を持った作品を探しているDJたちにとっては不満に感じることになるかもしれないが「Everlasting Sunday」はアルバム作品と同等のボリュームで、晴れた午後のセッションを感じさせる仕上がりとなっており、全くテンポが異なる楽曲が収録されていることは気にするほどではない。 4つ打ち、ブロークンビーツ、そのどちらであったとしてもArnoldのサンプル素材は同様の響きを持っている。瑞々しく、ディスコ風なストリングスを多用しており、Madlibのようなプロデューサーの作品でお馴染みの気だるい空気と一緒にそうしたサンプルが刻まれている。"Maputo Jam"ではループするキーボードサウンドと頑丈に作られたビートが特徴的で、自由に繰り広げられる世界の中をシンセのメロディが舞い降りてくる。"Nautic Walking"はよりディスコ的なエディットが加えられ、チョッパーギターのサンプルが躍動している。本作でのベストは"Minerals"だろう。凛としたドラムパターンと急降下してくるストリングスが1つに重なり、無気力なパーツからは予想だにしていなかった効果が生まれている。 A面でのアンフェタミンなキックと比較して、ヒップホップサイドにはジョイントのように長い効き目がある。おそらく"Everlasting Sunday"は"Minerals"と同じ素材から作られており、自由に落下していく各サウンドをループするベースライン受けとめている。ドゥーワップによる白昼夢"Hold On"やグリッチーなソウル"Deep Shadows"から察するに、Arnoldは昔の音楽を引き出すのが好きなようだ。彼が作り出すセピア色の音楽をノスタルジックだと言うのは簡単だ。しかし、ハウス、ヒップホップに限らず、Arnoldがどんな音楽を作っていたとしても、サウンドを細かく刻んでいく制作方法にはどこか引き寄せられるものがある。
  • Tracklist
      A1 Maputo Jam A2 Nautic Walking A3 Minerals B1 Everlasting Sunday B2 Hold On B3 Calculator Watch B4 Vice-Versa B5 Deep Shadows B6 Outro
RA