BD1982 - Casings

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  • 日本のレーベルDiskotopia。この意外な驚きに満ち溢れたレーベルは最近ではグライムの変異系に焦点をあて、Rabitによる宇宙観漂う「Sun Showers」をリリースしている。それに続くのはレーベル設立者の1人であるBD1982だ。このミニアルバムとも言えるEPはレーベル史上、最も鮮烈な作品の1つだ。BD1982ことBrian Durrのサウンドもまた、予想することが難しい。様々な要素がぐちゃぐちゃに混ざり合った作品をリリースしている彼だが、本作「Casings」ではグライムの要素が前面に押し出され、34分間に及ぶ非常に魅力的な時間を通じて、奇妙なサウンドとダンスホールの影響が渾然一体となった世界を作り出した。 細切れとなった音の断片による"Bakkwaa"や"Clear Walls"ではクラシックなグライムからの影響をうかがわせているが、Durrはグライムでお馴染みの独特のつんのめったグルーヴよりも大きな放物線を描くようにスウィングするリズムの方が好きなようだ。彼は感覚的なものに逆らって自身の楽曲を制作していることが多く、例えば"Blud"でのサイケデリックな要素は曲の流れに抗っているように聞こえるし、完全に間違ったやり方で作業しているんじゃないかと思うほどだ。うっとりするようなドラッギーなトラック"Cassava"と"Blessed"は共にデジタル音の粒子が作り出す靄を激しいドラムサウンドによって吹き飛ばそうとしている。一方で"Writuals"はグラスが割れる音や潰れるようなスネアサウンドによる新解釈グライムとなっており、そこから構築される騒がしく跳ね回るリズム構成はグライム発祥地のロンドンというよりも南アフリカの音楽に近い。 EP中盤に収録された2曲は実験的な要素が色濃く、タイトルトラック"Casings"ではオリエンタルな雰囲気を漂わせるサイノグライムの世界が広がっており、ぐらつきながらも何とかトラックを展開させようとDurrが奮闘している様子が窺える。Actressの作品スタイルに沿った"The Ground Opens"での目の眩みそうなサウンドの中、意識が朦朧としたようなダンスホールボーカルとあちこちで爆発するドラムサウンドが折り重なっていく様は幻覚を見ているかのようだ。こうしたトラックによる意外な楽曲を織り交ぜてくる点は進化を続ける展望を見せるDiskotopiaを象徴するものだと言えるだろう。
  • Tracklist
      A1 Cassava A2 Writuals B1 Casings B2 Clear Walls
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