Tropic Of Cancer - Restless Idylls

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  • Juan MendezがTropic Of Cancerを去って以降、Camella Loboのソロプロジェクトとなってきているこのプロジェクトだが、彼らの初期作品で感じることの出来た荒削りなワイルドさはエレガントさを身に纏い新たな姿へと進化しているようだ。LAで活動するこのプロジェクトが初めてアルバムという形で表現したもの、それはポストパンクの衝動と、ぞっとするほどおぞましい空気だ。そのサウンドは麻酔にかけられたかのような浮遊する感覚を持ち、精錬され、Camellaのボーカルが全体のイメージを作り上げている。本作はMendezの穴を埋めるかのように、Karl O'Connorが制作面での追加アレンジメントを担当した。 アルバムのジャケットはスタイリッシュでありながら不気味な感覚がそこにはあり、あたかも緊急ダイヤルに電話をかけようとしているかのように、シャンデリアに手を伸ばす女性の手が写っている。ハードボイルド刑事映画からインスピレーションを得ていると語るLoboの音楽性にふさわしいデザインだ。そして全体的な印象が不吉で殺伐としている一方、暖かな日差しが雲の間を潜り抜け大地に光をもたらすかのような瞬間がアルバムに収められている。このことをはっきりと感じることの出来る"Children Of A Lesser God"はアルバムで最も哀愁的な曲だ。 換骨脱脂した演奏方法で奏でられるサウンドの上に折り重なっていくLoboの声でアルバムの幕を開ける"Plant Lillies At My Head"。"Court Of Devotion"でのボーカルは認識することが難しいほど霧がかっており、ダビーなドラムパートとギタードローンが作り出す世界の中でその声は絡み合っていく。気味悪さを伴った違和感で満ち溢れている"Hardest Day"は次第に影を潜めていき、"Children Of A Lessor God"が安息の光をもたらす。その後に続くのは、こだまするドラムのリズムに滲んで行くかのようなボーカルが印象的な"The Seasons Won't Change (And Neither Will You)"だ。 アルバムで最も勢いのある"More Alone"での前面に押し出された嵐のようなギター。とある民族が一団となり不気味な式を挙げているかのような"Wake The Night"、そして今にも壊れそうなサウンドが特徴的な"Rites Of The Wild"、この両曲は礼拝儀式を彷彿とさせる。うっとりするほど滑らかなサウンドを巧みにめぐらせることにより、Loboは本作『Restless Idylls』において、Tropic Of Cancerが彼女のソロプロジェクトであることを決定付けている。ここから彼女がどこへ進んでいくのか非常に楽しみだ。
  • Tracklist
      01. Plant Lilies At My Head 02. Court Of Devotion 03. Hardest Day 04. Children Of A Lesser God 05. More Alone 06. The Seasons Won't Change (And Neither Will You) 07. Wake The Night 08. Rites Of The Wild