Dopplereffekt - Tetrahymena

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  • DopplereffektはDrexciyaのGerald Donaldによるプロジェクトであり、10年以上の間、テクノロジーを偏愛してきた(時として文字通りに偏愛している)。エレクトロプロジェクトとしてスタートした両プロジェクトであるが、20年に渡る活動の中で、徐々に多種多様なリズムの面影を覗かせるようになり、遂には、このプロジェクトが完全に終わりを迎えたかのような退廃感の持った作品『Calabi You Space』(2007年)へとつながることになった。そして今回、ベルリンのLeisure Systemより作品を発表するDopplereffektは、従来のドラムマシーンサウンドと共にひんやりとした作品に再び経ち返っている。 聖歌隊のようなパッドによるシンプルなメロディを用いた"Tetrahymena" は以前の時代に回帰したかのようだ。ノスタルジアではなく、そこには冷徹で波紋を呼びそうな空白感があり、カタカタと鳴るドラムサウンドは冷たい大理石を感じさせ、深層で渦巻く不穏な何かが不信感と同時に好奇心を刺激する。この雰囲気は"Gene Silencing"でも引き続き聞く事が出来、私見ではあるが、このトラックはDonaldの作品群において最も圧巻するものの1つだ。これはDopplereffektが持つ特異な美学が現れた好例だと言える。Kraftwerk的なシンセはまるでドライアイスによる水蒸気が漂っているかのようで、メロディは痛ましい悲哀に満ちている。 幕を閉じるのは"Zygote"。勢いのあるベースラインが圧倒する中、鐘のような金属音が幾重にも張り巡らされたフィルターを潜り抜け悶えるように鳴り響く実験的作品だ。「Tetrahymena」は、ほんのひと口サイズの簡易な作品ではあるが、感情を揺るがしながら心に刻まれるものは14分間ある本作を聞き終えても消えることはないだろう。
  • Tracklist
      A Tetrahymena B1 Gene Silencing B2 Zygote