FunkinEven - Species

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  • FunkinEvenが初めてEgloから現れた時、ファンク、R&B、そしてエレクトロの要素と戯れる彼の音楽性は、細かい仕切りやジャンル区分がほとんど無いタイトルをリリースするEgloにとって、自然にハマるものに思えた。しかしFatimaとの作品において、ぐらついたグルーヴのソウルミュージックを卓越したクオリティで提示したのが良い例で、FunkinEvenはそういった(様々な要素を取り入れる)クリエイティブな横の広がりではなく、縦へと深く焦点をあてた音楽を築いてきたことが彼の最大の成功だと言えるだろう。自身のレーベルApronからのソロ、もしくはKyle HallとのユニットFunkinEvilでの共作、そのいずれにせよ、"Dracula"のような盛り上がり必至のトラック、直近の作品だと"Ignorant"において、彼のスタイルをシンプルに仕立てることにより最大のインパクトを生み出せることを証明している。 FunkinEvenの基準からすれば、の話だが「Species」は分かり易さや派手な演出が抑えられている。4分以上に渡りキックドラムとフランジャーのかかったスネアロールが猛威を振るう"Beat Tunnel"や、"Dracula"と似た303や808の使用方法を取り入れた"Aviator"で言えば、アシッドなリフのみによる80年代エレクトロを堂々と模写しているし、重機のようなスネアロールをベースラインが掻きむしるトラック"The Joker"は抑制による産物だと言える。そしてトラックのBPMは這いつくばるほどにまで遅くなり、狂ったような笑い声と共にゆっくりと再び5速ギアへと加速していく。 これらのトラックの機能性が特徴的である分、最初と最後の収録された2曲は驚きの内容だ。オープニング曲はソロのチェロが奏でるコードと電波ノイズによるビートレスのイントロとなっており、その後に続く未加工でロウなトラックの兆候をほとんど感じさせない。"Mars"はメタンフェタミンを摂ったTheo Parrishのようだ。焦燥感の煽るオルガンのアタックが吹き荒れ、140BPM上でスネアが叩き付けられる。これほど強くインパクトのあるものが、一方でそっけのないトラックと一緒に収められ、それでもなおしっかりと結束感を感じさせる点が印象的だ。
  • Tracklist
      A1 Species A2 The Joker B1 Aviator B2 Beat Tunnel B3 Mars
RA