Cassy - fabric 71

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  • エレクトロニック・ミュージックにおけるCassy Brittonの立ち位置はユニークなものだ。イビザに馴染みのある彼女の同僚たちと同様、彼女もまたハウス的な純粋主義のなかで初期のキャリアを過ごし、ヨーロッパ中のクラブやアフターアワーズでPanorama BarやPerlonを代表するDJのひとりとしてフロアを沸かせてきた。しかし、最近の彼女はBerghainよりもDC-10でプレイする機会が多く、この変化は彼女のサウンドに反映されている。かつての名ミックス『Panorama Bar 01』で聴かれたスムーズで実直なミニマリズムはよりハードで分かりやすいものに置き換えられ、現在彼女が活動の中心としているフェスティバル・ステージによりフィットしたものになっている。 そういうわけで、この『fabric 71』がグロッシーでアップビートなものになっていることに驚きは無い。Artu "Tune In"での断固たるモノローグにはじまり、クワイアをサンプリングしたKuumba Project "Black Thoughts"へと続いていく。Livio Imrprota "Mare010"でミックスはいよいよギアを上げはじめ、そこからNorm Talley、ItaloJohnson、Freestyle Manらのループ主体でグルーヴィな展開が続いていく。それぞれのミックスはロングかつスムーズに進行し、このミックスの最初のビッグルーム的展開であるJohn Talabot "When The Past Was Present"のPachanga Boysリミックスへとよどみなく上り詰めていく。 ここからこのミックスは本格的な加速をみせる。スラミングなAffie Yusuf "Bring You Techno"はこのミックス中でも最も傑出したトラックのひとつで、ヘヴィーなスイングとたっぷりのエナジーを持ち合わせている。Losoul "Brain Of Glass"のデジタル的なメロディはやがて次につながるもうひとつの傑出した瞬間であるMarco Zenker "Landwehr"へのお膳立てとなる。ちょうど去年の今頃にリリースされ、それ以来フロアを沸かせ続けているこのトラックはそのタフネスが無理なくミックスの中で引き立てられている。終盤の20分間は多様性豊かに展開していき、Emptysetの硬質な波、Benjamin Damageのピアノ・ハウス、Todd SinesがリワークしたAdam Marshallの2008年のトラック"Thelon"のリミックスでの潜行するようなミニマル性をBrittonは見事に繋ぎ合わせてみせる。 選曲におけるその幅広さにもかかわらず、彼女の『fabric 71』は完璧なまでに調和のとれた印象を残す。どんな文脈であっても、Cassyはそれらを印象的なセットに仕立てることができるという証明だろう。『Panorama Bar 01』ほどのタイムレスな魅力には及ばないものの、この『fabric 71』は充分に楽しめるミックスに仕上がっており、彼女らしい明晰さが窺えるものとなっている。
  • Tracklist
      01. Arttu feat. Diamondancer - Tune In 02. Kuumba Project - Black Thoughts (Tribal Mix) 03. Livio Imrprota - Mare010 04. Norm Talley - Tell Me (Late Night Creeper Mix) 05. Italojohnson - A1 06. Alex Cortex - Oh Yeah 07. Freestyle Man - Meeting At Dawn 08. Basic Soul Unit - Basic Necessity 09. John Talabot - When The Past Was Present (Pachanga Boys Blue Remix) 10. Basic Soul Unit - For Some 11. Affie Yusuf - Bring You Techno 12. Losoul - Brain Of Glass 13. Marco Zenker - Landwehr 14. Emptyset - Completely Gone 15. Benjamin Damage - 010x 16. Adam Marshall - Thelon (Todd Sines Mix) 17. Duster Valentine - (My Back Is) Against The Wall