Various - MASSE

  • Share
  • Berghainとベルリン国立バレエ団のコラボレーションのもと、この伝説的なクラブの未だ未使用であった部分を使って開催されたMASSEはつい先ごろ閉幕した。幸運にもこのチケットを手にした人は、普段の週末にパーティが行われている空間の反対側で行われた真にユニークなベルリンの姿を体験したはずだ。ポスト・インダストリアル的な舞台装飾を積み上げた奥深いステージの上では、たくさんの肉体がワイルドなエレクトロニック・サウンドに身をよじらせ、そのサウンドはときにBerghain的なテクノでもあり、ときにはBerghainで聴くクラブ・ミュージックとはまったく異なるものであった。 ダンス・パフォーマンスという観点で言えば、クラブ・ミュージック的なテクノよりはそれ以外のエレクトロニック・サウンドの方が絶対的に良くフィットしていた。ダンスフロアーでテクノを聴くことに慣れていればいるほど、ただシートに座ってステージ上でダンサーたちがビートに合わせて体を動かしているのを眺めているだけという行為は奇妙に感じることだろう。リヴィングルームで落ち着いて聴くという点では、この『MASSE』における3つのパート—Henrik Schwarz、Marcel Dettmann & Frank Wiedemann、そしてDIN (Marcel FenglerとEfdemin)—はまた異なる効果をもたらす。Schwarzによる"Balletsuite #1"はショウの大トリで使われた曲だが、このCDでは1曲目に持ってきている。いわゆるテクノとは関連性のなさそうなサウンドであると同時に、普段冒険的なアプローチを手掛けるSchwarzにあっても異例なほどの意欲作でもある。あっさりとだけ説明するなら、これはアコースティックな室内楽で、その円弧を描くようなメロディはギターとピアノの間で行き来している。これらの楽器構成におけるSchwarzの注意深さは流石というべきだが、同時にあまりにも作曲技法的なアプローチに頼りすぎているきらいもある。唐突なテンポ・チェンジと豊かなテクスチャーはまさに振付家好みのものと言えるが、こうしたダンスカンパニーによる解釈がなければ、どこかとらえどころの無い曲であるままだ。 『MASSE』における2つのコラボレーション・プロジェクトはステージとサウンドそのものの空間をより高い芸術性で繋いでいる。アルバム中盤に登場するDettmannとWiedemannによる邂逅は、"Menuett"でその双方に取って居心地の良い場所を見つける。アナログ・ノイズと不穏なアンビエンスがじっくりと展開し、やがて緊張感と跳躍感に満ちたグルーヴが現れ、そのメロディは霧の中に溶けていく。三番目のパートでは初期のAutechreのような残響も聴こえるが、そのディテールに満ち高らかに鳴るベルのフレーズは全体的なコンテンポラリーな性格を持つこの作品にエレクトロ・アコースティック的な文脈を与えている。 FenglerとEfdeminが提供した"Evolve"は先ごろFenglerが発表したアルバム『Fokus』を彷彿とさせ、典型的なBerghain的暗闇の中をフラッシュ・ライトが一瞬で駆け抜けていく。ピークではシャッフルの効いた4/4ビーツが鳴らされ、これは全3ピースのなかでももっともスタンダードなBerghainサウンドに近いものの、あくまでもゴージャスでビートレスな展開は一般的なテクノとはかけ離れている。DINはDettmann and Wiedemannほど有名ではなく、かといってSchwarzがこのアルバムで展開しているほどのワイルドさはないものの、実に印象的な存在感を残している。このステージを目撃することができなかった人でも、この『MASSE』には多くのドラマを発見することが出来るだろう。
  • Tracklist
      Henrik Schwarz - Balletsuite #1 - Masse 01. Unknown Touch 02. Affect Structure 03. I Am Not Responsible For That 04. But Then I’m Different 05. When Things Are Difficult 06. Couple Are Strong Dettmann | Wiedemann - Menuett 07. Part 1 - Accelerando 08. Part 2 - Martellato 09. Part 3 - Spiritoso DIN - EVOLVE 10. (prelude) 11. Creation 12. Variation 13. Oscillation 14. Division 15. Generation 16. Conclusion